2015/07/24

田牧大和 / 泣き菩薩

泣き菩薩 (講談社文庫)
 

絵師を目指しつつ定火消同心のお役目に邁進していた若き日の歌川広重こと安藤重右衛門を主人公にした長編時代小説。

 

面白かった♪

 

この作品も登場人物の設定が絶妙。   
絵が得意で情にもろい広重、気が優しくて力持ちの大男・五郎太、怜悧な切れ者・信之介。    
3人それぞれのキャラクターを活かしつつ積み重ねられていくエピソードがとてもいい。

 

その周囲を取り巻く脇役たちもいきいきと動いていて物語に広がりを与えていた。   
特に広重たちの上役である与力の小此木様が素敵♪    
物語の発端となる話を運んでくる小坊主の哲正と森念も可愛かった。

 

事件も他の作品と比べるとシンプルで分かりやすく、結末もスッキリしていて読後感もよく大満足。   
広重、五郎太、信之介の3人の活躍をもっと読みたい。続編希望♪

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2015/07/23

山本兼一 / 黄金の太刀 刀剣商ちょうじ屋光三郎

黄金の太刀 刀剣商ちょうじ屋光三郎

シリーズ2作目。今回は長編。
1作目の最後に出てきた剣相家の白石瑞祥に騙された旗本の息子と光三郎、鍛冶平の3人が逐電した瑞祥を追って鎌倉、京都、奈良、備前長船と旅をする話。

前作が面白かったので期待していたけど、残念ながら今ひとつ。
騙し取られた金を返してもらうため瑞祥を追って、江戸から長い旅に出るものの行く先々で一足違いで取り逃がすか、たまたま追いついてもグダグダしてるうちに逃げられる…の繰り返しで、途中で飽きてしまった。
旅の原因となる旗本の息子もただ怒ってばかりで全然役に立たないのも苛つく。

何より、瑞祥の最後の行動のあとに、あの結びの内容(光三郎が自分で刀を鍛える)が出てくるのがしっくり来なかった。
著者の目的は追走劇よりもかつて名刀匠たちが仕事をしていた場所を巡ってそれぞれの土地や人物について描くことだったのかも。
それであれば、その旅の結果として光三郎が自分なりの太刀を鍛えあげるという結末も納得できる。
でも、だとしたらもっと光三郎たちにゆったりした気持ちで旅をさせる設定にして欲しかった。

せめて1作目と同じ短編か、長編でも各章ごとにひとつずつ結末のある事件(謎解き)の要素があったらよかった。

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2015/07/22

田牧大和 / 春疾風 続・三悪人

春疾風 続・三悪人

シリーズ2作目。

読む前にチラ見したあらすじが「忠邦の国許でお家騒動が持ち上がり、それに対抗するために忠邦に景元と耀蔵が加勢する」みたいな感じだったので、「おっ、昨日の敵は今日の友」って流れかな?と思ったけど、やはりそんなに単純ではなかった(笑)

相変わらず3人共いろいろ企んでいて、あっちを騙して、こっちを出し抜いてで大忙し。
企みが錯綜しすぎて読んでるこっちは何が起きているのかよく判らなくて、ただ三人の楽しそうな悪巧みを上から面白がって見てるだけだった。

相変わらず物語のスピードと緩急のリズムがよくて読みやすい。
登場人物全員自分のことしか考えてなくてその影で泣いてる人がどんだけいるんだよって話ではあったけど、物語としては面白かった。

それぞれの登場人物の書き分けが上手い。
特に耀蔵のキャラは出色。
醜男で悪賢くて陰険なのに妙にチャーミングに見えるのが素晴らしい。

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2015/07/21

田牧大和 / とんずら屋弥生請負帖

とんずら屋弥生請負帖

表では尋常な商売を営みつつ、裏ではよんどころない事情がある人間を密かに逃がす「とんずら屋」の顔を持つ船宿「松波屋」。
そこで女であることを隠し「弥吉」として猪牙舟の船頭として働く弥生には、実は更に重大な出生の秘密があった。

弥生の出生の秘密とそれを巡る駆け引き、それに「とんずら屋」の仕事をうまく絡めた内容。
複雑な筋書きで、特に最後のほうは展開が早すぎてちょっと置いてきぼりになった気分だったけど、全体としては面白かった。

後半の弥生を中心にした話も面白かったけど、前半の「駆込」「往還」の雰囲気が好きだった。
もう少しこうした「とんずら屋」本来の仕事の話を読みたかったな。

しかし、18の娘が男のふりするってなかなか難しいような気がするんだけど…。
そして弥生の面倒くさい性格…だからこそ物語として面白いんだろうけど(笑)

<収録作品>
船宿-始(はじまり) / 松岡-駆込 / 鐘ヶ淵-往還(ゆきかえり) / 箱根-夜逃 / 浅草-出戻 / 御蔵傍-奪還 / 高輪- 木戸破(きどやぶり)

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2015/07/19

里見蘭 / 暗殺者ソラ: 大神兄弟探偵社

暗殺者ソラ: 大神兄弟探偵社 (新潮文庫nex)

シリーズ2作目。
「失踪した兄を探してほしい」という少女の依頼を受けた鏡市。失踪に絡んでいると思われる「シマケバラ」という謎の組織を調べ始めるが…。

前作よりも大幅に危険度アップの今回。
暴力的なシーンが多くちょっと引いた。
辰爾が組織に捉えられて拷問されるシーンとかクライマックスの探偵社メンバーと組織の対決シーンは緊張感があっていいんだけど、痛みを想像してしまってクラクラした。

あと、文章だと人物の動きがうまく画像変換出来なくて、イマイチ何が起きてるのか判らなかったのが残念。
(まあ、想像できたら余計痛みが実感出来そうだからそれも怖いけど)

登場人物が限られるので黒幕が誰かとか途中である程度見えてくる部分はあるし、最後のほう独白で説明される部分がちょっと多すぎかなという印象もあったけど、全体的に展開が早くて一気に読めた。

そして比佐おばあちゃま、やはり只者ではなかった(笑)

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愛川晶 / 高座の上の密室

高座の上の密室 (文春文庫)

よんどころない事情により出版社から神楽坂倶楽部という寄席に席亭代理として出向中の希美子を主人公にした連作短編ミステリー。

これも1作目を読まずにシリーズ2作目を読了(笑)

読みにくくはないんだけど、寄席の符丁とかしきたりの記述が多くてちょっと疲れた。

収録されている2編のうち表題作は人の出入りが複雑だしいろんな要素が入りすぎてちょっと落ち着かない感じ。
事件が発覚したときの舞台上の人物の動きもちょっと違和感があった。
対してもう1編の「鈴虫と朝顔」は展開も、謎解きのオチもしっとりしててこちらのが好み。

<収録作品>
高座の上の密室 / 鈴虫と朝顔

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2015/07/18

柳広司 / シートン探偵記

シートン探偵記 (文春文庫)

「動物記」で有名なあのシートン先生が身近で起こった事件を、動物たちの行動をヒントに解き明かす連作短編集。

最初の「カランボーの悪魔」の冒頭を読んだ時点で「あれ?この内容見覚えが…」。
調べてみたら'09年に別タイトルで文庫化されたのを既に一度読んでいたことが判明(^^;
といってもいつものごとく(謎解き含め)ほとんど忘れていたので、問題なく楽しめたわけだけど(笑)

シートンがホームズばりの観察眼で相手の度肝を抜く冒頭や、その相手がその後シートンの名探偵ぶりを何度も聞くことのきっかけになる「カランボーの悪魔」がよかった。

動物たちの生態のちょっとした豆知識も散りばめながらの謎解きと、それ以上に動物に囲まれて暮らすシートンの生活の描写が楽しかった。
ただ、謎解きのときに毎回「じらし」が入るのがちょっとイラッとしたかな(笑)

<収録作品>
カランボーの悪魔 / 銀の星(シルバースポット) / ウシ小屋密室とナマズのジョー / ロイヤル・アナロスタンの失踪事件 / 三人の秘書官 / 熊王ジャック

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2015/07/17

近藤史恵 / モップの精は深夜に現れる

モップの精は深夜に現れる (文春文庫)

派遣掃除人・キリコが仕事先で遭遇した事件を解決する話。
連作短篇集。

ずいぶん前に買って積んであったのをようやく読了。
シリーズの2作目とのこと。
1作目は未読だけど、特に問題なく読了。

深夜・早朝に仕事をするキリコと、それ以外の時間に仕事をするオフィスの人間が出会うまでの流れが自然で上手かった。

全体的に明るい雰囲気で謎解きも軽快でサクサク読めるけど、事件自体はオフィスでの人間関係の闇を覗いたような怖さも感じる作品。

4本目の「きみに会いたいと思うこと」だけはキリコ自身とその家族の物語。
大きな事件が起こるわけではないけれど、これもまた家族の中の人間関係の難しさを考えさせられる話だった。
ただ、この家族だったらキリコの仕事よりもまず外見で一悶着ありそうな気がするけど…。

<収録作品>
悪い芽 / 鍵のない扉 / オーバー・ザ・レインボウ / きみに会いたいと思うこと

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2015/07/16

田牧大和 / 三悪人

三悪人

若き日の水野忠邦、遠山景元、鳥居耀蔵の3人を主人公に一人の遊女を巡る騙し合いを描いた作品。

昨日読んだ『甘いもんでもおひとつ』と同じ作家さんの作品。
『甘いもんでも~』とはまったくテイストが違う作品だったけど、これも面白かった!

全体で200ページほどでそんなに長い話ではないのに、スピード感のあるスムーズな展開でどんどん話が進むしその中で一つ一つにきちんとオチが付いていくので読み終わった時の満足感が高い。

登場人物たちも個性的でイキイキと動いていて読むのが楽しかった。
特に主役の3人は悪さ加減も方向性もそれぞれで面白かった。

続編(『春疾風』)も出ているらしいので、読んでみよう♪

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2015/07/15

田牧大和 / 甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺

甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺

江戸で人気の菓子司「百瀬屋」を営んでいた父が急死したあと主に納まった叔父に店を追い出された晴太郎、幸次郎兄弟。
父の弟子であった茂吉の好意で店を譲ってもらい3人で始めた菓子店「藍千堂」を舞台にした連作短編集。

面白かった。
菓子作りの天才的な腕をもつけれど人付き合いが下手でお人好しの兄・晴太郎と、有能な実務家で店を支える弟・幸次郎、そんな2人のやり取りを傍らで見守る茂吉。
3人のバランスがとてもよかった。
出てくるお菓子の描写も丁寧でとても美味しそう♪

晴太郎のお人好しっぷりは読んでて時々イラッとするくらいだったんだけど、だからこそ幸次郎(を始めとした登場人物たち)は彼を放って置けないんだろうな。
兄弟の追い出した叔父との確執とその仲を取り持とうとする従姉妹のお糸の存在も物語に広がりを与えていた。

ラストの落としどころも絶妙で、この作品として一応の結末を見ながら先の展開を予感させる終わり方だった。
是非続きが読みたい作品。

各話の扉に使われている内容の季節に合わせた菊寿堂いせ辰さんの千代紙も可愛らしかった。

<収録作品>
四文の柏餅 / 氷柱姫 / 弥生のかの女 / 父の名と祝い菓子 / 迷子騒動 / 百代桜

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