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2004/05/22

山田風太郎/忍法帖短篇全集1「かげろう忍法帖」

山田風太郎忍法帖短篇全集 1 かげろう忍法帖
山田 風太郎 日下 三蔵
山田風太郎/忍法帖短篇全集1「かげろう忍法帖」「忍法帖短篇全集」の第一巻。
先日読んだ第二巻がすごく面白かったので遡って一巻目を読んでみた。

面白くないわけじゃないけど、「スピーディな展開」「物語の単純な美しさ」「設定の荒唐無稽さ」「ラストの意外性」など全てが「ツボ」だった第一巻と比べると今ひとつな感じ。

「忍者明智十兵衛」、「忍者石川五右衛門」、「忍者本多佐渡守」などのタイトルを見ても判るように、実在の人物を「実は忍者だった」として書いたものが大半。
この設定がちょっと無理があるような感じ。
別に「忍者だった」と設定することは構わないと言うかむしろ面白いと思うけど、その扱い方にどこか引っかかりがあって第一巻のようにスムーズに納得する(又は無理矢理納得させられる(笑))と言う感じにはならなかった。
もちろん、実在の人物を扱うわけだからそれなりに制限はあるのは理解できるのだけど。

それと第二巻に比べて全体的にページ数、情報量が多い作品が殆どなのだけれど、その分ポイントが拡散してしまい冗漫な印象を持つものが多かった。
実在の人物を登場させているので当時の歴史的な事実を描写する必要はあるのだろうけど、その分量が多くて物語のスピード感を殺してしまっていると言う印象。

それに内容的に「別にこれはわざわざ<忍法帖>にしなくてもいいのでは…」と言うものもあった気がする。
特に「忍者本多佐渡守」などは歴史の中の政治的な駆け引きの物語としてそれだけで面白かった。
その中で忍者が重要な役割を担っているのは事実なんだけど、物語の全体からみたらそれ以外の人物(佐渡守とか家康とか)の謀略の方が比重が大きいわけだしね。

そう考えると、こういう権力者の命令のもと「道具」のようにその命を投げ出していく忍者たちの運命って本当に過酷。
それに比べると佐渡守から大炊頭に引き渡された根来組の少年・波太郎が「大炊頭は自分を人間として扱ってくれた」と言う理由で満足し笑いながら大炊頭のために死んでいけた事は彼にとって幸せな最期だったんだろうなあ。
でもやっぱり悲しい…。

第一巻の中で一番<忍法帖>らしかったのは最後の「忍者帷子乙五郎」。
中盤までちょっととぼけた感じで進むのでこのまま笑えるオチになるのかと思いきや、一転凄惨なラストが待っていたのが衝撃的だった。

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