山田風太郎/忍法帖短篇全集2「野ざらし忍法帖」
野ざらし忍法帖―山田風太郎忍法帖短篇全集〈2〉
山田 風太郎何気なく平台に並んでいたのを手に取ったので、初めて買ったのにいきなり第二巻から(笑)
すごく面白かった。
普通、忍者の術って言ったら"まきびし"撒いたり、屋根まで一気に飛んだり、壁と一体化しちゃったり、水の上を歩いたり、風や火を操ったり…くらいなものだけど、ここに出てくる忍者たちはスゴイ!
どの部分を切っても繋げばすぐに元の通りに繋がる術とか、子宮を裏返してその中の胎児に整形を施す術とか、身体中のあらゆる水分を抜いて小さな固まりになりどこにでも潜り込む術とか…。
書いてても「オイオイ」って言いたくなるような、吃驚仰天、抱腹絶倒な術の数々が披露されているのだ。
なんだか忍者というよりもB級ヒーローものに出てくる怪しい妖怪みたい。
とても人間とは思えません(笑)
でも、そんなビックリ人間たちのオンパレードだというのに、その文章や筋立てはあくまでシリアス。
そしてどこかもの悲しくさえある。
状況設定や、話の流れもきちんと計算されていて、単に「派手だったらいい」とか「面白ければいい」と言う勢いだけの小説では全くない。
どれを読んでもラストの部分はこちらが思いもかけない結末が準備されていて、最初から最後まで楽しめる作品ばかり。
どの作品の忍者たちもそれぞれ独特だし、内容もどれ一つを取っても二番煎じ的なものが一切ない。
量的にも物足りなかったり、逆に冗長過ぎることもなく、始めから「そう」と決められた形の物がそこにあると言った風情の完璧な物語ばかりなのは本当に見事だと思う。
どの作品も印象的だけど、特に最後の「忍者鶉留五郎(うずらとめごろう)」はたった5ページほどの作品なのに読み終わると「参りました」って思わず頭を下げたくなる構成が素晴らしかった。
今更ですが、山田風太郎にしばらくハマりそうです。
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