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2004/05/05

中島かずき/髑髏城の七人

髑髏城の七人
中島 かずき
中島かずき/髑髏城の七人劇団★新感線によって今までに2度上演された同名作品の小説化作品です。

新感線の舞台は大好きなのですが、見終わると「面白かった!…でもよく判らなかった(泣)」と言う感想を持つことがよくあります。
その物語全てを覆っている世界観や設定、人間関係がかなり複雑な事が多いうえにセリフが多いので内容についていけなくなってしまうんですよね。
小さなエピソードとかギャグのシーンとかはとにかく下らなくてただひたすら「ガハガハ」笑っていれば済むのですが、どんどんラストに近づいて広げられた物語が収斂していく段階になるとその前提が理解できてないために段々「何が起こっているのか判らない」状況になってしまうのです。

そんな新感線の舞台脚本の小説化作品だったのですが、思ったよりも読みやすくて面白かったです。
小説は舞台上のセリフのように通り過ぎていかずに、自分のペースで何度でも読み返せるので納得しながら読み進められるところがいいですね。
これを読んで初めて「あ、この作品ってこういう物語だったのか!」と理解できた気がします。

ただ、やはり小説作品として考えた場合には、色々情報を盛り込み過ぎでちょっと説明がくどいかな、と言う部分もありました。
それから最初の印象が後になってひっくり返ってくる設定がいくつかあったのですが、それを表現するための伏線がもう少しあっても良かった気がしました。

元々新感線の舞台では正義(と思われる側)と悪(と思われる側)と同時にそのどちら側にいるのかちょっと判らない登場人物がいるのが定番で、その属性が不明な登場人物がどちらに付くか、で展開が変わっていくと言う事がよくあります。
それは舞台のスピーディーな展開の中で見る分には説明が後付けでも「騙された!」とか「そうなるのか!」と勢いで納得してしまう部分があるのですが(舞台で微妙な伏線張られても気が付かない可能性大だし、却って騙される快感がいいのかも)、活字の世界ではある程度事前にそれらしい匂いがしていないとなんとなく(言葉は良くないですが)「ご都合主義」みたいな雰囲気が出ちゃうような気がするんですよね。
それってちょっともったいない気がします。

とは言え、それぞれの登場人物に対してそれぞれの結末がきちんと準備されているところはさすが。
「ああ、終わったんだな」と納得できるエンディングになっています。
特に沙霧と捨之介のその後を暗示させるラストシーンの描き方はとても気に入りました。

あ、それと(もしかしたら全然関係ないのかも知れませんが)この小説を読んでる間 何度も隆慶一郎の「吉原御免状」が頭に浮かんできました。
色里の設定が似ていたからかな~?
こっちもまた読みたくなってしまいました。

<おまけ>
「髑髏城の七人」は今年また舞台化されます。
既に公演が始まっている「アカドクロ」(主演:古田新太)と、10月からの「アオドクロ」(主演:市川染五郎)の2本立て。
舞台についての詳細は劇団★新感線の公式サイトまでどうぞ。

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