鯨統一郎/九つの殺人メルヘン
九つの殺人メルヘン
鯨 統一郎グリム童話の新解釈と、殺人事件の謎解きを組み合わせた推理小説の短篇集。
「ヘンゼルとグレーテル」、「赤ずきん」、「シンデレラ」、「白雪姫」など9つの作品が題材になっています。
解釈はどれも面白いし、事件の謎解きもそれなりに纏まっていると思う。
特に最初の2作くらいはその2つがきちんとリンクしていて「ほお~」と思う作品になっていたけど、それ以降は何となくそれぞれがバラバラな場所にあるものを無理矢理一緒の所に持ってきたみたいな印象で、別にこれとこれは一緒にしなくてもいいのでは…みたいなものが多かった。
事件とは全く関係ない部分で登場人物(この作品の舞台になっているバーの常連2人とマスター。42歳のオジサン3人)が披露する昔のヒット曲やらTV番組やら子供の遊びやら…の話は面白かった。
懐かしの無駄知識って感じ。
次から次へと展開していく話は確かに楽しいんだけど、これがまた後半に行くに従って話の量が増えていく所あたり、どっちがメインなんだ!って感じ(笑)
ま、面白かったからいいけどね。
あと、物語の舞台である日本酒バー「森へ抜ける道」で饗される日本酒の蘊蓄や、美味しそうな料理の数々も楽しかった。
この著者の作品ってまだ3~4作しか読んでいないけど、その中で判断する限りでは物語の本編よりもこういう「周辺情報」の方が面白いような気がする。
なんとなく「本末転倒」な感じがしなくもないけど、それでも全体的にユーモアがあり披露されてる知識が多岐に渡っていて、またその書き方が自然な感じ(尊大でもないし、卑下してるわけでもない)なのですんなり読めてしまうのは好感が持てるからいいかな。
それにしても桜川東子さん(この作品のヒロイン 兼 謎解き役。大学で「メルフェン」を専攻しているお嬢様)、日本酒飲み過ぎです。
それに、金曜の夜だってのに毎週3人しか客がいないようなバー(しかも出てくるお酒や料理はちゃんとしてる)の経営は大丈夫なんだろうか…(笑)
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