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2004/06/15

西澤保彦/幻惑密室~神麻嗣子の超能力事件簿

幻惑密室―神麻嗣子の超能力事件簿
西澤 保彦
西澤保彦/幻惑密室~神麻嗣子の超能力事件簿「チョーモンイン」神麻嗣子シリーズ 長編第一作。

会話のテンポはいいし、登場人物の造形も個性的。
どこに着地するのか判らない展開にグイグイ引き込まれて、結局ほぼ1日で一気読み。
つまり、全体的な感想は「面白かった」なんだけど…う~ん、どうも引っかかる。

何がかというと、事件の鍵となる超能力の種類。
今回の超能力は「ハイパーヒプノティズム(略してハイヒップ。超催眠術)」。
これによって作られた『どうしても外に出ていけない空間』の中で殺人事件が起こると言う話なんだけど、とにかくこのハイヒップという超能力の定義が(私には)難しすぎた。

もちろん、その内容については神麻さん、能解警部、保科の3人の会話の中で丁寧に説明されるわけで、事実それを読んでる間は「あ、なるほど」と思っていたんだけど…読み進めるうちに段々わけが判らなくなって来ちゃって。
いや、基本的にどう働くかっていうのは理解できるんだけど、何しろこの超能力、すごく細かい法則が存在するのよね。
確かにこんな能力、無制限に使えたら何でも出来ちゃうからとてもミステリーの題材になんかならない。
だからその能力に制限を設けるのは設定上仕方ないんだとは思うんだけど、それにしても細かすぎる。
更には、その細かい法則を使ってる本人が判ってる、と言うことが私にはどうしても納得出来なかったんだな。
いくら自分が所有している能力だって言ったって、その法則全てを把握してるって事はあり得ないんじゃないかと思う。
なのでそれを全て理解した上でこの超能力を使っている、と言う前提自体が私にはちょっと受け入れにくいものになってしまったと言う事なんだと思う。
(自分の理解不足から来る八つ当たりかも知れないけど(汗))

それから、この物語は全編「男と女の関係」の話が底流に流れてて、いくつもの関係論が語られる。
それらは確かに説得力あるし面白いと思ったけど、あまり「ああ、そうだね~」って納得したくない内容であった。
ただ、それでも「イヤだ」と思わせずにスルスル読ませる筆力というのはさすが。

ところで、この作品を読みながらふと、第一作目で主人公のミステリ作家の部屋でまず超能力を使った殺人事件が起こる、と言う設定は主人公にこの作品世界の設定を否応なく認めさせると同時に、その目を通して物語を見ている読者にも同様の効果をもたらすためのものだったんだなあ、と言うことに思い当たった。
主人公が否定的だったら、話は前に進まないもんね。

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