石田衣良/電子の星
電子の星 池袋ウエストゲートパーク〈4〉
石田 衣良
人気シリーズ「池袋ウエストゲートパーク」の第四弾。
表題作を始め4作を収録。
お気に入りの作家の、大好きなシリーズ最新作。
こういう作品の感想を書くのは非常に難しい。
いやが上にも期待は大きくなるしその分評価は辛目になってしまうし。
その上で「すごく面白かった!!!」と書ければこんな嬉しい事はないけど、微妙な読後感だとどう表現していいやら…。
面白くないわけでは決してない。泣いちゃった作品もあるし。
でも、やっぱり何か「物足りなかった」と言うのが正直な感想。
(衣良さん、ごめんなさい(汗))
今までの作品ではマコトは誰かの手助けをするとき、いつもその相手と目線が同じ位置にあった。
例えそれが自分よりうんと年下の子供だったとしても。
でも、この作品の中でのマコトはちょっと違う。
一人息子を亡くした老タクシードライバー、モグリのデリヘルで働くビルマ人の少年、失踪した友人を捜しに来た山形の引き籠もり少年…そうした「依頼人」たちの"保護者"とまではいかないけどちょっとだけ目線が上にあって先まで見通せる目を持っている。
もちろんそれは池袋が彼のホームグラウンドだからだろうし、彼の成長の証でもあるのだけど…そんなマコトを見るのが私はなんとなく寂しかったんだな。
「こんなの『私の』マコト(誰がだ!)じゃないっ!」とか思ってしまって(笑)
なので、マコトと同じ目線のタカシから依頼された仕事を解決する「東口ラーメンライン」は私のイメージするマコトに近くて読んでいて一番楽しかった。
あまりにも作品や登場人物に思い入れを持ってしまうと、作品や人物のイメージと言うのを自分勝手に思い描いてその方向で物語が進むことを勝手に期待していたりする。
で、それに合っていない作品が出てきてしまうと、勝手にガッカリしたり怒ったり…。
こういうファンって、送り手(この場合は作家)には結構ありがた迷惑なんだろうなあ。
でも、ファン心理って基本的にそういうものだからそんな事で左右されてたら送り手ではいられないだろうけど。
ただ、受け手としてはそこまで好きになれる作品があることを幸せだと感じると同時に、その「好き」に縛られて作品を素直に楽しめなくなる事があるのは残念な事だとも思う。
(まあ、好きでやってる事なんだからそんなにストイックに考えることもないとは思うけどね)
表題作の「電子の星」は、扱っている題材が非常に苦手な部類なので読むのがキツかった。
(それも夜中に読んだので、途中で止めるのが気持ち悪くて最後まで読んだら2時近くまでかかってしまった…。休日の昼間一気読みすればよかったよ(泣))
で、内容はかなりグロい部分があるし、結末も結構悲惨なのにラストは妙に爽やかだったりするのにちょっと違和感を覚えた。
そんなに吹っ切れるものなのかな。
まあ、悲惨なまま終わられてもつらいけど。
「あの内戦のときも今回もそうだが、おまえは正しいと自分が信じることのためなら、どんなやばい手でも平気で打ってくるな。危ないやつだ。おまえとおれは、案外似たもの同士なのかもしれないな」(p175より)
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