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2004/06/18

「深呼吸の必要」

「シネリーブル池袋」は乗換駅のしかも駅ビル(メトロポリタンプラザ)の中にあるので一番行きやすい映画館。
なので、急に思い立って映画に行くときはここで「その時にやっている映画」を観ることが多い。
選択に自分の好き嫌いが(あまり)反映されないこの方法は、はずれる時もあるけど思いがけず面白い作品に出会うこともあるのが楽しい。

今日も帰り際急に映画が観たくなったので行ってみた。
やっていたのは「深呼吸の必要」。
この映画の予告編は他の映画を観に行ったときに何度か観ていたけど、正直あまり食指が動くタイプの映画ではなくて特に興味があったわけではない。
だから、今日ここでやっていなければ観なかったと思う。

で、見終わっての感想はと言うと…「気持ちのいい映画だった」。

沖縄のとある離島。2月下旬と言えども南国の陽射しはとてもキビシい。群青の空と海に囲まれた埠頭の桟橋に、5人の若者が降り立った。この島の“きび刈り隊募集”告知に応募して来た者達で、互いに初対面だ。“きび刈り隊”とは、人手不足な農家のさとうきび収穫を手伝うアルバイト。滞在中、寝食を共にし、唯々ひたすらきび刈りに没頭する。休みは週に1日。雨でも風でも作業は続く。(公式サイトより)

"きび刈り隊"はみんな「何か」を抱えているようだけど、多くは語られない。
みんな殆ど無言のまま、沖縄の太陽の下でひたすらさとうきびを刈っている。
刈って刈ってご飯食べて刈って刈って…ちょっと事件が起きて、刈って刈ってご飯食べて事件が起きて刈って…って感じ(笑)
とにかくセリフがすごく少ないんだけど、その静けさが心地いい。

そして"きび刈り隊"を迎えるおじいとおばあの暖かさ。
「なんくるないさー(どうにかなるさ)」、「ありがとうね」、「おかえり」…。
当たり前のセリフにいっぱい泣かされてしまった。

セリフが多いとそのセリフの意味を理解する事に一生懸命になってしまい、本当は見えてくるはずの「物語そのもの」が逆に見えなくなってしまう。
でも、セリフではなくて表情や、めくばせ、仕草、息遣い…など、「言葉にならないもの」で表現される意志や想いは意味を限定されずに観る人の数だけ意味を持つ。
そしてそれは言葉で伝える意味よりも心の深いところまで届くのかも知れない。
そしてその中で語られる数少ないセリフは、少ないからこそ万感の想いを持つのだろう。

主要な登場人物が9人と言うのもいい。
それぞれの人物が一人の人間としてきちんと表現され、関係を保持出来る丁度いい人数だと思う。

ラスト、あまりにもさりげなく終わるのでちょっと意表をつかれてしまい、いつもは本編が終わるとすぐに席を立ってしまうのに今日は客電が点くまでずっと座ってエンドロールを眺めていた。
My Little Loverの主題歌は、バックが黒一色のエンドロール部分で流すのはちょっと勿体なかったと思う。

「深呼吸の必要」公式ページ

…でもね、どんな状況であったにしろああいう他人と四六時中一緒にいる状態に「自分から」飛び込んで行けるって事は私から見たら、ムチャクチャ勇気があると思ったよ。
私は"きび刈り"の仕事はともかく(暑さにも弱いからこっちもダメか(汗))、そこに行くための一歩が出ないから。
そうして迷ってるうちにきび刈りは終わってしまうのであった…。

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コメント

こんにちは〜。
いい映画でしたよね。
おばぁがね、加奈ちゃんに触れるシーンが2度ほどあったでしょう?
帽子を貸すときと髪を洗ったとき。
あれがなーんかすごく良かったんです。
手配りがあったかくて優しくて。
いいシーンだったなぁと思いました。

投稿: 110 | 2004/06/19 20:46

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