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2004/06/20

柴田よしき/ふたたびの虹

ふたたびの虹
柴田 よしき
柴田よしき/ふたたびの虹柴田よしきの本を読むのは久しぶり。
「RIKO」シリーズも、「炎都」に始まるシリーズ(このシリーズは何て呼ばれてるの?)も最初の方は面白く読んだけどその後が続かないし、その他に出ている最近の作品は何だかテーマが重そうでどうも読む気になれないし。

今回のこの作品は丸の内にある小さな小料理屋が舞台…と言うのでそんなに重くなる気遣いはないだろうと思い手に取ってみた。

結果、すごく面白かった。
まず冒頭部がいい。

その店はとても小さくて、しかもわかりにくいところにあった上に、これまで一度も雑誌の類に紹介されたことはなかった。だからどうしても常連客が多くなり、毎夜のカウンターの顔触れは時間ごとにだいたい同じになる。だが、それでもけっして、初めての客が不愉快になるような、あの、顔馴染みだけに親切なある種の排他的な雰囲気は漂っていない。 (p8より)

ね、いいでしょう♪
特に最後の一文が効果的。
その上出てくる料理は一人で切り盛りする女将が築地で選んだ旬の材料を京風の「おばんざい」(それも料亭で出てくるような薄味のじゃなくて、京都の家庭で作られるようなご飯に合うちょっと濃いめの味)に仕立てて出てくるし、しかもその女将はちょっとした雰囲気のある美人だっていうんだから、もうこれだけ読んだだけで「どこのお店?」ってちょっと捜してみたくなる。

この小料理屋「ばんざい屋」の女将を中心に話は進んでいく。
読む前はこの小料理屋の中だけで話が進む「安楽椅子探偵」もの(北森鴻の「花の下にて春死なむ」みたいな)かなと思っていたらそうでもない。
じゃあ一話完結の謎解き物かな、と思って読んでいたらこれも違っていて、どうもこの女将には結構重大な謎が隠されているらしい事が判ってくる。
更にその間には女将となじみの骨董屋の主人とのしっとりした大人の恋の話が入ってきて、そして回を追うごとに長い間閉じられていた謎の箱の蓋が少しずつ開けられて最後は…と言う感じで、一冊の中でいくつもの楽しみ方が出来る作品だった。

しっかりと練り上げられた構成の謎物語の中にさりげなく盛り込まれる季節のおばんざいや、女将の趣味であるブロカント(骨董よりも新しい時代の雑貨類)の話、そして迷いや哀しみの果てに辿り着くしっとりとしたそして希望がある結末。
最初から最後まで気持ちよく読めた。

事件は起こるけど悪人が出てこないところや、タイトルに付けられた英文もマル。


<関連サイト>
「space Shibatay」

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