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2004/07/11

山田風太郎/忍法帖短篇全集3「忍法破倭兵状」

山田風太郎忍法帖短編全集3 忍法破倭兵状
山田 風太郎 日下 三蔵
山田風太郎/忍法帖短篇全集3「忍法破倭兵状」面白かった!
ちょっと長めの話もあったけど、テーマがぶれることなく粛々と進んでいくのでどんどん物語に引き込まれてサクサク読めた。
内容は所謂「房中術」と言った性質の話が多かったけど、決して下卑た表現はなくそれに絡むそれぞれの物語の展開が個性的で飽きることもなかった。
本当にこの想像力というのは素晴らしいと思う。

最初の方はストレートな展開で自分の同輩をも騙し殺してまで主命を達成するために命がけで任務に当たる忍者たちの姿が描かれているんだけど、終盤になるとその任務が終わって安心したのも束の間、変化する状況によって新たに与えられた使命に翻弄されていく彼らの苦悩に変わっていく。
その、他人に向けた刃が自分に向かってくるような終盤の展開の意外さがとても興味深く、かつ切なく描かれていて読み応えがあった。

どれもよかったけど特に、どんな女も確実に身籠もらせさらにその懐妊を水にすることが出来る忍法を使う六波羅十蔵の苦悩を描いた「忍法肉太鼓」(すごいタイトル!)と、お家の存続のため不能の殿様を助けた3人の忍者が辿る過酷な運命を描いた「忍法花盗人」の2作品の終盤の展開が面白かった。

振り向けばそこには血にまみれた累々とした屍が積み重ねられているけど、それを悼むものはなにもないと言った風情が却って物語の哀れさを引き立てている簡潔な最後の一文が秀逸。

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