青井夏海/陽だまりの迷宮
陽だまりの迷宮
青井 夏海主人公は11人兄弟の末っ子・生夫。
小学3年生の彼の身の回りで起こるちょっとした謎を下宿人のヨモギさんが解いていく、コージーミステリーの連作集。
以前読んだ「赤ちゃんをさがせ」の感想が『ちょっと苦手』だったのでその続編の「赤ちゃんがいっぱい」には手を出さなかったのですが、これは別作品なので大丈夫かと期待して読んでみました。
結果…やっぱりダメでした…(泣)
何故かというと私がこの作家さんが描く人物像に共感出来ないと言うのが最大の原因です。
(「赤ちゃんをさがせ」が苦手だった理由もこれでした)
謎とか、物語の設定自体は面白い部分もあるのですが、それに絡んでくる人物達が生夫の兄弟たちを始めそれ以外の人たちも殆どが「こんな人たち、なんかイヤ」って感想しか持てなかったんですよね。
特に『黄色い鞄と青いヒトデ』に出てくる生夫の家の近所に住む兄弟なんか、読んでも読んでもいいところが発見出来ないと言う感じ。
と言って、それは特に悪意で描かれているわけではないんですよね。
でも、私には却ってそれがダメでした。
だって悪意を持って悪い人に描いているなら読者が「ヤなヤツ」と感じるのは当たり前なわけですから。
そうじゃないのにそう感じてしまう、と言うのは自分の感じ方がおかしいのかな、とか余計なことを考えてしまうので読んでいてかなりストレスでした。
それ以外の部分でも「そこでそう行動するかな」とか「そんな事言うかな?」とか登場人物の言動に違和感を感じる部分が結構ありました。
もちろん私も、こうした登場人物の全てが「いい人」であることを期待するわけではないし、現実では人の行動が全て端から見て納得出来るような理由があるとも思ってはいないわけですが、それがお話である以上はやはり読者にとってある程度の説得力や共感を持つものであって欲しいと思うのです。
それと、主人公の生夫の兄弟が「11人」である必要があるのかも不明でした。
「兄弟が多い」そして「彼らと主人公が年が離れている」しかも「全員が実の兄弟というわけではない」と言う複雑な設定の中から出てくる雰囲気とかストーリーはあると思うのですが、それにしても何も11人なんていうあまり現実的とは言えない数にする必要はあったのでしょうか。
と言うのも、その(生夫以外の)10人の中には名前しか出てこなかった人もいるんですよねえ。
いくら訳アリの大家族でももう少し扱いやすい人数(6~7人とか)にしておいた方が良かったのではないでしょうか。
プロローグとエピローグの雰囲気はとても良かったです。
中身もこの雰囲気だったら良かったんだけどな~。
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