米原万里/旅行者の朝食
旅行者の朝食
米原 万里/文春文庫ロシア語会議通訳の草分けであり、作家でもある米原万里氏の食いしん坊エッセイ集。
楽しかったです♪
エッセイは大きく分けると書く人によって対象を「けなす系」と「誉める系」そしてどちらでもない「淡々と描写系」に分けられるんじゃないかな、と思います。
米原さんは「誉める系」ですね。
もちろん誉めるばっかりじゃなくて、中には苦言を呈したり、辛辣なダメ出しをしたり、と言う部分もあるのですが、そんな部分でも根底には対象に対する愛情があることがちゃんと感じられるのでとても気持ちよく安心して読んでいられます。
そんな米原さんの作品の中でも、このエッセイ集は一番愛情に溢れている一冊になっていると思います。
何故ならその題材が米原さんの大好きな「食べ物」についてなんですから。
お父様から受け継いだ健啖家としての素質と好奇心、そして美味しい物へのこだわりと想像力と努力を最大限に発揮して美味しい物を追求するその姿は感動的ですらあります。
私ももちろん不味いものよりは美味しいものの方が好きですが、「並ばなくちゃ食べられないすごく美味しい物」より「並ばずに食べられるそこそこ美味しい物」を選んでしまうようでは一生たどり着けない境地だなぁ、と(笑)
もちろん、その感動には米原さんの卓越した記憶力、描写力、構成力が重要な役割を果たしていることも忘れてはいけません。
遠くの方から始まって「どこに行くのかな?」と読み進むうちに少~しずつその核心に近づいていって、最後は「ニヤリ」とした笑いで締めくくられる上質なエッセイが満載です。
そしてその中にはロシア語通訳として何度もかの地を訪れている著者にしか書けない、知られざるロシアの姿もきちんと描かれています。
どれも楽しい内容でしたが、特にジャガイモが世界に認められるまでの変遷を描いた「ジャガイモが根付くまで」と、小さい頃に食べた夢のように美味しい「ハルヴァ」と言うお菓子をひたすら探し回る「トルコ蜜飴の版図」は読み応えがあって面白かったです。
私も「ハルヴァ」食べてみた~い!
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コメント
takoさん、こんにちは。
Manaと申します。
このエッセイ集、面白そうですね!
私自身、食いしん坊なので、食べ物をあつかったエッセイ、大好きなんですよ~。
本屋さんで探してみようと思います!
投稿: Mana | 2004/10/15 10:23
Manaさん、初めまして。
コメントありがとうございました♪
米原万里さんのエッセイは、読み応えがある上にユーモアも交えて書いてあっていつも楽しみにしています。
しかも今回は食べ物について!
美味しい物ばかりではなく「世の中にはこんな食べ物もあるんだ~」と言う珍しいものの紹介もたくさんあって楽しく読みました。
Manaさんにも気に入って頂けたら何よりです。
投稿: tako | 2004/10/16 14:01