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2004/11/04

奥泉光/坊ちゃん忍者幕末見聞録

坊ちゃん忍者幕末見聞録
奥泉 光/中公文庫
奥泉光/坊ちゃん忍者幕末見聞録出羽庄内藩の片田舎で霞流忍術を伝える横川家の養子として育った松吉は、ある日一念発起して医者になるべく江戸に出る事を決意する。
旅費を工面してくれた裕福な庄屋の跡取り息子・寅太郎、攘夷の魁となるべく脱藩した平六と共に江戸を目指すはずが、着いた先は何故か攘夷か開国かで揺れる京の町。
仕方なくここで医者の修行を始めた松吉だったが、次々と厄介事が降りかかり…。


何だかすご~く微妙な味わいの物語でした。
いや、微妙なのは物語ではなくてその表現方法なのかな。
何というか…(失礼を承知で言ってしまうと)「小説」を読んでいると言うよりも、(多分面白いであろう)小説の「(長い)あらすじ」を読んでる感じでした。
または松吉のWeb日記(別にWebじゃなくてもいいですけど)か。

出羽の国を出立して京までの道筋、そして京での生活…短い日数(同じ年の春から夏まで)の中でかなり色んな事が次々と起こるのですが、それが全て松吉視線の同じテンポの文章で淡々と書いてあるんですよね。
なのでスル~ッと読めてしまうのですが、逆に何の引っかかりもなくて、ホントにいいの?って感じがしてきてしまって…。
一番不思議だったのはとにかく、非常にセリフが少ないと言う事。
「普通、この内容だったら登場人物が直接セリフ喋るでしょ」ってところも、ただ地の文でどんどん進んで行ってしまって何だかただの説明みたい。
(この辺が「あらすじ」風)
あと、伏線とかっていうのも全くないんですね。
結構思わせぶりな話とか登場人物とかセリフとかが出て来たりするのですが、出てきて去っていったらもうそのまんまです。
(この辺が「日記」風)
変な話「面白く書く気がホントにあるのかな~?」って思ったりしながら読んでいました(汗)

それにどこが「坊ちゃん」で、どこが「忍者」なのかも謎だったし(笑)

話の筋自体は登場人物も、エピソードも結構面白くて、「???」と思いながらも結局3日くらいで読んでしまったわけですし、以前奥泉氏の作品を読んだとき(『吾輩は猫である殺人事件』『葦と百合』の2冊)には今回のような感想は持たなかったので、多分意図的にそうしたのだろうとは思うのですが…私はもっと単純な作品の方が好きだなあ…。

物語の終盤になって松吉の中で現在と未来が交錯したり平行して存在したりするようになって、「夢」と「現実」の区別が曖昧になってくる辺りからが一番楽しく読めました。

特に何でもなく終わってしまうラストも、この物語の結末としては合っていて好きでした。


<関連サイト>
「バナール主義」奥泉光氏の公式サイト

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