「笑の大学」
ユナイテッド・シネマとしまえん(UCT)で「笑の大学」を見てきました。
期待がちょっと大きすぎたのでそれを凌ぐ程には感じませんでしたが、真面目にきちんと作られた楽しめる作品になっていました。
始まってからしばらく低めのテンションで物語が進んでいて笑える箇所も殆どないので「もしかしてずっとこのパターンなのか」と心配してしまったのですが、中盤からはエンジンが暖まってきて快調に走り出した感じで笑えるようになってきたので安心しました。
最後はボロボロ泣けちゃったし…。
ただ(あれだけ泣いておいてこんな事言うのも何ですが)、あのしんみりしたムードのままで終わってしまうエンディングってのはどうなのかな?
最後にもう一回ドッカ~ン!と笑わせてくれるエピソードがあるのかと期待していたのですが。
役所さんの演技はさすがですね。
間の取り方とか何気ない仕草とかちょっとした切り返しとか、思わず引き込まれて「クスッ」と笑ってしまうポイントを巧についてきます。
しかも重厚なシリアスシーンもいけるわけですから…達者な役者さんですよねえ。
一方吾郎ちゃんはと言うと…健闘はしていたけど、まだまだって感じですか(笑)
何より気になったのが滑舌の悪さ。
特に最初の頃に出てきた「浅草の今川焼き」ってセリフなんか、何でもない一言なのにすごく意識しながら発音してる(と判ってしまう)のが非常に気になりました。
でも、その不器用さとか一生懸命さ、真摯さが話が進むにつれて段々役に合ってきていた感じはありましたね。
場所が1箇所だけ、そしてセリフを喋る役者は主役2人のみいう変則的な、それこそ「舞台的」な作品を映像化すると言うのはやはり難しいものなんですね。
私はこの作品の舞台はTVの中継で1度みたことがあるだけなのですが、TVで観ていても十分引きつけられる面白い作品だったと言う印象が残っています。
客席で観る生の舞台と、家のTVで観る舞台とは素材は同じであっても全く違うんですよね。
客席だと舞台と近いし暗くて他にすることがないから必然的に舞台に集中してその波動に自分も飲み込まれてしまう部分がありますが(だからかなり変な事をされてもその「変さ」が気にならない)、お茶の間だとTVの他にも気になることはあるし何より「そこ」までの距離が遠いのでなかなかその舞台に入り込むことが出来ないのです。
だから舞台を見に行くことが好きな私でもTV中継はあまり観ることがないのですが、三谷さんの作品はそんなTV中継でも耐えられる数少ないものの1つです。
この映画のもととなった「笑の大学」も、TVで観て面白かったと言うことは生の舞台で観たらそれこそムチャクチャ笑えたんだろうなあ…と想像して今更ながらクヤシサを噛みしめています(笑)
そうした舞台との対比と言う事でこの作品を語ろうと思うとやっぱり分が悪いですね。
ただ、舞台よりは映画の方が比べようがないくらい間口が広いし、しかも人気グループのメンバーが出ると言うことであればこの作品はとても多くの人が観ることになるわけですよね。
映画化の目的の一つがこの物語を多くの人に観てもらう、と言う事にもあるのだとしたらそれについては成功していると思います。
苦しい時も辛い時も、いやそういう時であるからこそ「笑い」は必要なのだと、少しでも多くの人にそう言いたかった三谷さんの想いは多分伝わったのではないかと。
出来ることなら、その三谷さんの分身でもあるのであろう椿に何故そんなにも「笑い」にこだわるのか、それをもっと語って欲しかったなあ。
それを語らせないのが三谷さんの美学なのかも知れないけど、私はちょっと泥臭くてもそういう熱さを正面から描いて欲しかったです。
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