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2004/12/05

鴻上尚史/鴻上尚史のごあいさつ―1981-2004

鴻上尚史のごあいさつ―1981-2004
鴻上 尚史/角川書店
鴻上尚史/鴻上尚史のごあいさつ―1981-2004初日の公演前、最後の指示を出し終わってから開演までの2時間、何もすることがなくなった演出家がそのポッカリ空いてしまった時間に不安に押し潰されないために書き始めた観客へのメッセージ。
24年前の旗揚げ公演から書き続けたこのメッセージ「ごあいさつ」をまとめ、著者自らが解説を付けた一冊。


鴻上さんの舞台を見に行くと劇場の椅子の上で大量のチラシとともに観客を待っている「ごあいさつ」。
舞台の方は大好きなんだけど私にとってはすごく抽象的で難しくて何を伝えたいのか判らないまま見終わってしまうことが殆ど。
(でも、最後は必ず泣いていた。頭では判らないけど、心では感じたってことかな~?それともムードの問題?(笑))
それに比べると「ごあいさつ」はもうちょっと易しい言葉で書かれていて気持ちにスーッと入ってくる感じがして、舞台の前にザワザワしている客席でこれを読むのが大好きだった。
お芝居見るよりも、「ごあいさつ」貰う方が楽しみだったのかも(失礼(笑))。

そんな「ごあいさつ」を集大成した本なので「さぞ感動出来るのだろう」と期待していたんだけど、そんなこともなかったなあ。
とは言っても、やっぱり痛い部分はそれなりに痛いし、沁みる部分はちゃんと沁みる。
でも、何となくそのレベルとか距離感が違う。

やっぱりあの「ごあいさつ」は開演前の舞台の期待と、劇場全体を包む緊張感、観客の期待感が一体となった空間で読むからこそ良かったのかな。
そして「大学ノート」に「手書き」されたものの「コピー」である、と言うのもやはり重要かと。


私にとって一番印象深い「ごあいさつ」は、イギリス公演から帰ってきた後の'91年(私が観たのは'92年の東京公演)「天使は瞳を閉じて インターナショナル・ヴァージョン」の時のもの。
この作品については初演も、そしてそのイギリス公演も観ていたのでそれだけでも特別な舞台だったし、精神的にもちょっといろいろあってキツかった時期だったので余計に記憶に残っているのだろうと思う。
ここに書かれた『二度と語られなかった言葉の想い』に関する話が、その当時の自分の精神状態にど真ん中ストライクで直撃される内容だったので開演を待つ客席でそれを読みながら泣いてしまった自分を思い出す。
(恥ずかし~(汗))

その時、『二度と語られなかった言葉の想い』に関する話を題材にした「ファントム・ペイン」は<次回作>のタイトルだと書かれていた。
私は(それまでのペースから考えて)その物語には遅くとも半年後には出会えるだろうと思って楽しみに待っていた。
なのに!その直後から第三舞台は休止状態に入り次回の公演があったのは3年後、しかもそれは「ファントム・ペイン」ではなかったのだ!

結局その後「ファントム・ペイン」は「ごあいさつ」を読んでから10年後の'01年に上演されたのだが、それは驚くことに<第三舞台20周年&10年間封印公演>でもあった。
これだけでもチケット入手は難しいことは想像できるし、しかも私自身のお芝居(のチケット取り)に対する情熱が昔ほどではなくなっていたこともあって結局私はこの舞台を観ることは出来なかったのだ。

と言うわけで、私の『二度と語られなかった言葉の想い』の物語は未だに完結していない。

これが「鴻上さん」「第三舞台」「ごあいさつ」と聞いて一番初めにに思い浮かぶ「私の物語」である(笑)


カバーを取ると表紙に、ある公演の手書きの「ごあいさつ」が印刷してあった。
これがこの本のための特別な「ごあいさつ」だったら、すごく嬉しかったんだけどな~…と思うのは贅沢?


<関連サイト>
「thirdstage.com」

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