文藝春秋 編/私の死亡記事
私の死亡記事文芸春秋 編/文春文庫
作家、評論家、大学教授、俳優、国会議員、ジャーナリストなど各界の著名人が文藝春秋の企画に応えて書いた「自分自身の死亡記事」。
文庫化にあたり単行本時の102人に更に12人を追加。
自分が死んだときに他人によって記される「死亡記事」。
自分のことであるのに、自分ではどうすることもできない、他人が判定する「自分の人生の価値」。
それを自分で書いてしまおう、というのは企画としてとても面白いと思う。
総勢114名の各界著名人がそれぞれの形式で自分の「生」について語っておられる。
そう、今更ながら気がつくことだけれど「死亡記事」というのは、その情報の大半が「死」ではなく「生」についてのことなのだ。
その人がどう生き、何を成し、何を残したのか。
それが語られる場なのである。
今、私が自分の死亡記事を書こうとしたらどんなことが書けるのだろうか。
毎日、目の前にある仕事をなんとかやり過ごして、特に苦労もなく、諍いもなく、悲しみもなくまあまあ平穏に暮らしている。
確かにそれだけでもいいのかも知れないけれど、一方あまりの中身のなさに愕然としている自分も間違いなく存在している。
要は「それを自ら選んだのかどうか」ということだ。
この本を読んで「よく死ぬことは、よく生きることだ」という言葉を思い出した。
いつか必ず来るその時に、他人ではなく自分がキチンと納得できる「生」を選んでいたい。
そして見送ってくれる人に「まあ、幸せだったんじゃない?」って言って貰えるように。
毎日何気なく生きている私でさえ、そんなちょっと真面目なことを考えてしまった。
これは「自分がこれからどう生きるか」を考えるために有効な方法を示唆してくれている一冊だと思う。
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