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2004/12/19

「SHIROH」@帝国劇場

12月16日(木)観劇。

「劇団☆新感線初のロック・ミュージカル」と言う謳い文句だったけど、元々新感線が劇中で歌を歌うのはお約束だったのでそんなに意識せずに観に行ったわけなんだけど…。
セリフの部分まで歌になっているのを聞いて初めて「あ、なるほど、ホントにミュージカルなのね~」と思った次第(笑)
で、私は普段殆どミュージカル系の舞台を観ないので、その「セリフ(特に会話)が歌」状態に最後まで慣れないうちに終わってしまったのであった。
普通に歌の部分はすごく良かったんだけどね。

特に中川晃教さんの声+歌は噂以上だった。
あんなにきれいな高い声で楽々歌が歌えたらどんなに気持ちがいいだろう。
どの歌もみんなよかったけど、最後に音楽が全て消えた舞台に響いたアカペラの歌声には鳥肌が立った。
「あの歌声があったからこの舞台が成り立っている」と言う感想をあちこちで目にしたけど、確かにそうだなあと納得できる力だった。
ただ、歌はいいんだけど普通のセリフになるとイントネーションがちょっと変な感じがして、それが気になった。
彼の元々のスタイルなのか、この舞台の演出なのかは判らないけど。

ちょっと心配だった上川さんの歌は、思いがけず巧かったので安心した。
「ミュージカル」として見た場合の評価はまた違うのかも知れないけど、あのくらい安定した歌だったら私は合格点をあげちゃうな。
何より普通に喋ってるセリフの声と殆ど同じトーンの声で歌えていたところが偉いと思う。
あまり器用じゃない分、却って四郎の真摯さや苦悩が表現出来ていて私は好きだった。
でもそれよりも上川さんは立ち姿が格好良かったなあ。
特に後半、闘いの衣装になってからはスッと背筋が伸びた後ろ姿が凛々しさと同時に四郎の寂しさ、葛藤、罪の意識を全て背負い込んだ哀しさも表現していて、泣きたいくらい切ない感じがした。
ただ髪型はあのウェーブの掛かった長いのも似合っていたけど、もうちょっとちゃんとまとまっていた方が良かったな。
反対に中川さんのシローの方は最初に出てきたときの留めていない状態の方が良かった。
(わざと同じ髪型にしてるのは判るけどね)

この2人に対する敵・松平伊豆頭役の江守徹氏も良かった。
最初の方で「好かれるのは将軍の仕事、嫌われるのが俺の仕事」ってニュアンスのセリフがあったけど、それをそのまま貫き通した役だった。
自分の私利私欲のためではなく、幕府、そして日本の中での自分の役割・仕事を把握した上で敢えて悪役に徹しようとするその生き様。
それがあったからこそ、最後の四郎の苦悩に叫びに結びつく。
この2人のSHIROHを含めた3万7千の死を全て自分で受け止めて、その上で徳川幕府を日本を守ろうとする知恵伊豆の苦悩は多分誰よりも深いのだろうなあ。
歌はお世辞にも「上手い」とは言えないけど、2人のSHIROHの死が意味あるものにさせる存在としての迫力があった。

女優陣は主なところでは秋山菜津子さん、高橋由美子さん、杏子さん。
秋山さんは「ヒロイン」というにはちょっと迫力ありすぎる役柄だったけど(笑)、歌も演技も上手いし何より物語を引っ張っていく力があった。
自分を貫き通す最後も泣けた。
高橋さんは思っていたよりも前に出ていなかった感じ。
もっと四郎と心通わせる部分があっても良かったんじゃないのかな。
杏子さんは前半の牽引役だし、全編通して歌も多いしもちろん上手いんだけど何故かイメージがとても薄い。
自分の意志で行動していると言う感じがあまりしなかったからかな?

新感線の役者さんたち(高田さん、粟根さん、右近さん、じゅんさんなど)は、それぞれちゃんとした役だし見せ場もあるけどやっぱりあの中にいると「その他」ってイメージだったのがちょっと残念。
まあ、バランス的には仕方ないのかも知れないけど。

他に私が好きだったのはリオ役の大塚ちひろさん。
精霊的な役だったので他の役者との絡みも演技らしい演技も殆どないし、歌も同じパターンのものしか歌わなかったので「ホントのところはどうなのよ」と思わないでもないけど、それでもあの賛美歌のイメージの歌の透明感はとても良かったな。
役のイメージにとても合っていたと思う。

あ、そうそう、忘れていた。
さすがに音響がきちんとしている劇場だけあって、演奏の音がすごく良かったのが印象的だった。
最近のコンサートは音楽用じゃなくてただ「人をたくさん入れるため」だけのハコでやることが多くて、それでもその場のライブ感で興奮しちゃうから音響とかあまり気にしていない(と言うか気にしても仕方ない)けど、ああいうきちんと音が響く会場で聞くと楽器の音ってこんなにキレイなんだな~と改めて実感する。
後ろのバンドの皆さんも嬉しかったのではないかと。

今回個人的に一番辛かったのは照明。
音楽に合わせて強い光が点滅したり、客席に向かって当てられたりすることが多かったんだけど1階の真ん中辺りで見ていた私にはその光がどうにも邪魔で仕方なかった。
照明が客席向いているときは日射しが眩しいときみたいに手で光を除けながらじゃなくちゃ見られなかったくらい。
最近眼精疲労で目の調子が悪かったのでこんな状態になってしまったとは思うけど、それにしてもキツイ演出であった…。

と、いろいろ書いてみたけど、物語全体としては「難しいなあ」というのが感想。
いろいろな行動(特にラストに向かっての)が納得できそうで出来ないって感じ。
宗教って難しいよねえ…(と、取りあえずお茶を濁しておく(汗))。

SHIROH
劇団☆新感線

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