北原保雄 編/問題な日本語-どこがおかしい?何がおかしい?
へんな日本語にもわけがある…
「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」「こちら和風セットになります」「全然いい」など、気になる、知らないうちに使っている “問題な日本語”を取りあげ、それがどのような理由で生まれてきたか、どのように使えばよいかを、日本語の達人、『明鏡国語辞典』の編者・ 編集委員がわかりやすく解説!
(「大修館書店ホームページ燕館」 内書籍紹介のページより転載)
最近話題の本。
初版が12月10日で、私が購入した1月10日版はすでに第4刷と売れ行きも好調な様子。
確かに面白かった。
この本の面白さはその対象となっている内容が日頃よく耳にする言葉であること。
例えば「こちら~になります」、「よろしかったでしょうか」、「~のほうをお持ちしました」、「私って~じゃないですか」、「みたいな」、
「こんにちわ/こんにちは」、「猫に餌をあげる」、「わたし的には~」…などなど。
どれもどこかで一度は聞いたこと、そして「ん?」と思った経験がある言葉なのでは。
そうした今現在、日常的に使われる"怪しい"日本語を『明鏡国語辞典』
の編集委員5人が文法的な見地プラス現状の使われ方を考え合わせた上で「現在の用法として妥当なのか、誤用なのか」を解説している。
解説の文章は少々硬いし、文法的な説明には難しい部分もあるけれど、全体的には用例を多く紹介して「こういう時に使うのと、
こういう時に使うのは違うでしょ?」と具体的に説明してあるので判りやすい内容になっている。
何より私が好ましく思ったのは、現在使われている用法が過去からの文法としては誤用だからと言って単純に「間違いだ」
と決めつけていなかったこと。
現在の普及度合いが進んでいたり使われ方の法則をきちんと説明出来る言葉(用法)であれば「必ずしも間違いではなく、
今後の動向を見て判断したい」と言う結論を与えているものが多くあった。
私が面白いと思ったのは「雰囲気」を「ふいんき」と読む人が増えている、と言う質問の項。
さすがの私も「そんなの漢字で書いたら違うってわかるじゃん」と思うような質問なのだが、この質問にさえも回答者は
現時点では明らかに誤用ですが、今後広く定着する可能性が全くないとは言い切れません。
と書いているのだ。
なんと心の広い見解!
確かに誤用であれなんであれ、その使い方が広がってしまうことのブレーキにはならない。
漢字を音に変換するのではなく、口に出して言いやすい、耳で聞いてすんなり理解されることのほうが言葉として定着するには重要なことである、
と言う説は納得できる。
更に驚いたのは、私たちが現在日常的に使用している「あたらしい(新しい)」、「さざんか(山茶花)」がそれぞれ元は「あらた」、
「さんざか」であった、と言う記述。
これらも使われているうちに並びが入れ替わり、そのまま定着してしまったらしい。
これが書いてあるからこそ、前の記述にも説得力が出るというもの。
上記のように、国語辞書の編集者として日常的に言葉の動向に気を配っている彼らの方が「言葉とは時代によって変化するもの」
として柔軟に受け止めている様子が非常に印象的だった。
思えば辞書の編者と言うのは、「言葉を守るもの」ではなくて「言葉を"見"守るもの」であるのかも。
その流れがどこに行こうとも、それを戻したり正しい(であろう)方向に修正することはせず、ただその流れが今どこにあるかを見つめること。
そして何故その場所にそれがあるのかを後に残すために記録する役目の人たちなのかも…などということを考えてしまった。
この本はその見守る人々からの'04年末現在の「定点観測」ってことかな。
本編の内容を受けて挿入されている いのうえさきこさんの味のある4コママンガも楽しかった。
※リンク先のご本人もホームページも面白くてオススメ!
それにしても、日本語を文法的に理解するのは難しいことだよなあ…^^;
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コメント
ああ、確かに使われているうちに並び方が変わってくる語は、今後も出てくると思います。
ところが 後世?、音だけであるいは仮名から漢字が想像しにくくなるという傾向もあるでしょうね。
「新しい」はともかく、「さざんか」は何故「山茶花」と書くのか不思議ですもの。「さんざか」だったんだと言われれば納得できます。
投稿: 涼 | 2005/01/15 22:07
涼さん、こんにちは。
>音だけであるいは仮名から漢字が想像しにくくなるという傾向もあるでしょうね。
確かにそういう弊害は出てきそうですね。
パソコンの変換機能だったらOKかも知れませんが。
そう言えば「雰囲気」の項には
「『ふいんき』と入れて変換しようと思っても漢字が出てこない」とワープロメーカーにクレームが入った
と言う話も載っていました。
投稿: tako | 2005/01/16 14:17