阿川佐和子/恋する音楽小説
恋する音楽小説
阿川 佐和子FMラジオで放送された音楽番組のために書かれた音楽にまつわる物語。
史実と想像を交えて描かれる音楽家やその家族、恋人たちの語る19の短篇を収録。
阿川佐和子さんの作品というとエッセイしか読んだことがなかったので「小説も書くんだ(意外)」と言うのが第一印象。
(寡聞にして存じ上げなかったが、処女小説
『ウメ子』は坪田穣治文学賞を受賞しているらしい。失礼しました。)
でも、この本の内容は長さにして10~20ページ程度、しかも語り手が音楽家本人、またはその関係者の一人称であるし、
内容も重くないので<小説>と言うよりも<エッセイ>に近い感覚でサクサク読めた。
語り手によって自在に変化する語り口(文体)が、その物語世界に読者を素早く、違和感なく誘い込むことに成功していると思う。
ただ、最後にちょっとひねろうとしている作品がいくつかあるのだけど、読んでいる途中でオチが見えてしまうものが殆どで、
しかもそのひねり方が中途半端であまり驚きがないものが多かったのが残念。
ひねりを入れるにはあまりにも素直すぎる書き方なのだろうな、と思う。
却ってストレートに自分と相手の過去や現在をそのまま語っているものの方が力があって面白く読めた。
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