ミュシャ展@東京都美術館
請求業務がなんとか一段落した上に、
いつもは午後にならないと回答が来ない業務もラッキーなことに午前中に処理が終わったので午後から半休をもらって楽しみにしていた
「ミュシャ展」に行ってきた。
もう、すごく、すごく、すごく良かった!!!
ミュシャは随分前から好きな画家で、ギャラリーでの小さな展覧会は見たことがあったけどここまで大がかりなものは初めて。
地下1階から地上2階の3フロアに渡って、時代ごとに展示された作品の数々の見事なこと!
幸せな2時間だった♪
まず入り口を入ると「ウィーンからミュンヘンへ」。
1860年生まれのミュシャは希望した美術アカデミーへの入校を断られたことで18歳でウィーンに出て舞台装飾を手がける工房で職を得る。
そこからパトロンとなるベラシ伯爵、その弟のエゴン伯爵に出会い、その援助によってミュンヘン美術アカデミーに入学する。
その彼の「修業時代」に描かれた3枚の絵が飾られている。
若いときの作品であるため、その後の特徴となる装飾的な表現はまだ控えめだけれど圧倒的なデッサン力は既に健在。
更に一番最初にある『妹アンナの肖像』は1885年の作品だけれど、
ミュシャ独特のデザイン化された文字のサインが既に書き込まれているのが印象的だった。
次は「パリ時代」。
ミュンヘンからパリに出た後エゴン伯爵からの援助をうち切られたミュシャは雑誌の挿し絵で生計を立てていたが、1894年冬、
クリスマス休暇を取っていたデザイナーの代わりに大女優サラ・ベルナールの新作舞台のポスターを描くチャンスを掴む。
1週間で完成させたと言われる「ジスモンダ」のポスターはパリの街中に貼りだされ、ミュシャは一夜にして有名人となった。
そのサラ・ベルナールのポスターに代表される、「ミュシャ様式」とも呼ばれた流麗な作品が「これでもかっ!」と並んでいてまさに圧巻。
ここだけでも入場料1,300円の価値、十分。
4部作も≪四季≫を筆頭に≪花≫、≪芸術≫、≪時の流れ≫、≪宝石≫、≪月と星≫と、書いていても「うわ、こんなにあったのか!」
と驚くくらい揃っていたし、それ以外にも『黄道十二宮』、『ジョブ』のポスター、『モエ・エ・シャンドン』のポスターなどの有名な作品から、
習作や「こんなものも描いていたのね」と言った感じの小品まで本当に溜め息モノの展示内容。
もちろん、サラを描いたポスターも前述の『ジスモンダ』を始め、『椿姫』、『ロレンザッチオ』、『メデイア』、『ハムレット』
の5作品が展示されていた。
このポスターは大きい(縦約2m×横約80cm)と言うのは知っていたけど、実物を前にすると予想以上の大きさと華やかさ、
精密さにただただ口を開けて見とれてしまう。
こんなのが街中に貼り出された20世紀初頭のパリって凄いなあ、と改めて実感。
そしてそのパリを一晩のうちに席巻したミュシャの力量と、その実力を見抜きミュシャの名声と自分の人気を同時に引き上げていったサラ・
ベルナールの慧眼に拍手。
ここには幻想的(と言うかちょっとオカルトっぽい)なパステル画や、フランスの菓子メーカー・
ルフェーヴル=ユティル社製のビスケットのパッケージ、布に印刷された『ひな菊を持つ女性』、
1900年に開催されたパリ万博に出品された金・
銀メッキで彩られたブロンズの少女の頭部など通常紹介されているミュシャの作品とはちょっと毛色の変わったものも多数展示されていて楽しかった。
特に私が好きだったのは、1902年に出版された『装飾資料集』と言う本のための習作たち。
殆どの作品が紙に鉛筆で描いてあるだけなのに、そのデッザン力、表現力、想像力に鳥肌が立ちそうになる。
私なんかは全然そういう才能がないから「うわ、凄~い!」って感心していれば済むけど、
ちょっとでもその分野で仕事をしている人にとってこういうのはどうなんだろう?
確かに「貴重な資料」ではあるけど…「これを見てどうしろと?」と思ってしまいそうな気もする…^^;
次に「アメリカの時代」。
ミュシャは1904年に初めて招かれて以来、パリ滞在やボヘミアへの帰郷を挟みながら1910年までアメリカに滞在した。
それは既に着手していたライフワーク『スラブ叙事詩』の完成のための資金調達を目的とするものでもあった。
パリ時代に絶賛されていたデザイン的な仕事は意識的に避けていたようだが、結果的にはかなりの量の作品を残した。
この時代になると、パリで培った装飾的な美しさを取り入れつつもデザインではなく少しずつ写実的な絵画に変化してきている。
この中で目を惹くのはなんと言っても『百合の聖母』。
247×182と言う大きさのこの作品は、エルサレムの聖マリア教会の装飾用として描かれたとのこと。
しかしその後、このプロジェクトは中断されたため教会に採用されることはなかったと言う現実が哀しい。
画面の右上に立つ、百合で飾られたフランス時代の作品を彷彿とさせるデザイン的な聖母と、
左下で膝を折る写実的に描かれたスラブの民族衣装の少女。
ミュシャの心の中の流れが画面に定着したような1枚だと思う。
最後に「プラハ時代」。
アメリカを離れプラハに戻ったミュシャが故国で描いた後半生の作品群。
フランス時代のデザイン的な作品は華やかで目立つ感じ。
それに対してこの時代の作品はちょっと地味だけど、逞しくて明るくて外に向かって開いているイメージ。
『ヒヤシンス姫』(名前も可愛い♪)あたりは様式的にはフランス時代と似てるんだけど、画面から受けるイメージはかなり違う。
何でかな?人物に陰影があるから、かな?
『アメリカでのクリスマス』(この絵に描かれている女の子ってどこかで見たことある感じ。こんな女優さん、いなかったっけ?)とか
『ボヘミアの唄』、『眠れる大地の春の目覚め』あたりが好きだったな。
『スラブ叙事詩』は(当然ながら)習作のみ展示。
雰囲気は伝わってくるけどやっぱりちょっと物足りない。
本物が見てみたい~っ!
プラハに行くっきゃないか?(笑)
その他にミュシャ自身が撮影した写真も展示されていた。
家族や友人のポートレートや作品用のモデルの写真、風景など。
ミュシャのアトリエでズボンを脱いで(!)オルガンを弾くゴーギャンの写真は必見!(笑)
ミュシャの絵は、人物を中心に描かれているけどその周囲に配された植物や動物をデザイン化した装飾がもう素晴らしく美しい!
画集とかの小さい画像ではハッキリ見えなかった背景の細かい部分を今回はジックリ見ることが出来たのがとても楽しく嬉しかった。
なんでこんなデザイン考えつくかな~?
斬新で緻密で美しくて、ホントに「額縁いらないよ」って感じ。
それに合わせて本当の額縁はシンプルにまとめてあるあたりはさすが。
見ていると、ホントに100年も前の絵だなんて信じられない。
今でも全然通用するもんね。
っていうか、「これってどこかで見たことあるよね?」ってデザインやイメージの作品もたくさんあったような…。
(もちろんミュシャの作品としてではなく、ね)
偉大なる作品にはやっぱり影響されてしまうって感じなのかな。
プラハに戻ってからの油絵は私が大好きなカール・
ラーションの絵にも似ていた。
と思って、ラーションの年譜を見てみたら…あら、殆ど同年代の人じゃないですか。
やっぱりアールヌーボーの影響って大きかったんだなあ。
ああ、ラーションも見てみたくなった。
また展覧会やらないかなあ…。
本当に素晴らしい展覧会なので、少しでも興味のある方はこの機会にぜひぜひ!
こんなに多くの作品が一堂に会することはもう2度とないんじゃないかと思いますよ。
今回は平日昼間だったのでそんなにメチャ混みではなかったけど、有名作品の前ではしばらく待たされると言う感じのそこそこの入り。
多分週末はもっと混むだろうし、日が経つにつれ平日も混んでくるのは間違いないかと。
行くなら早めに行った方がいいと思います。
で、今日の状況でも私は一回りするのにたっぷり2時間かかったので、平日昼間に時間に余裕を持って行くのがオススメ。
今回の記事は会場で購入したプログラムを参考にして書きました。
今回の展覧会の全ての作品、目録、年譜なども入って2,000円。
これもかなりオススメ。
ショップにはこれ以外にも魅力的なお土産が山積みですよ!
<今後の巡回先>
□名古屋展 : 2005年4月27日(水)~5月22日(日)松坂屋美術館
□浜 松 展 : 2005年6月10日(金)~8月28日(日)浜松市美術館
□松 江 展 : 2005年9月16日(金)~11月6日(日)島根県立美術館
□大 阪 展 : 2005年11月19日(土)~2006年1月29日(日)サントリーミュージアム[天保山]
■「ミュシャ財団秘蔵 ミュシャ展」
公式サイト
■東京都美術館
■TV東京
『美の巨人たち』より「アルフォンス・
ミュシャ『スラブ叙事詩』」
この記事は「ミュシャ展」について書いていらっしゃる以下のブログにトラックバックさせて頂きました。
■「弐代目・青い日記帳」さんの『ミュシャ財団秘蔵 ミュシャ展』
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 奇跡のクラーク・コレクション展@三菱一号館美術館(2013.03.09)
- 白隠展@Bunkamuraザ・ミュージアム(2013.02.09)
- 新春浅草歌舞伎@浅草公会堂(2013.01.20)
- 「博物館に初もうで」展~初詣~「あっぱれ北斎!光の王国」展(2013.01.06)
- 舞台:ミュージカル『薄桜鬼』斎藤一 篇(2012.05.01)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント
ミュージアム・ショップでよく見かけていて、まとめて観たいなぁと思ってたんですよ。
うーん。名古屋かな。
投稿: west | 2005/02/03 23:29
westさん、こんばんは。
興味と機会があるなら少々無理をしてでもぜひ!
こんなチャンスは2度とないと思いますよ~。
投稿: tako | 2005/02/04 00:08
TB&コメントありがとうございました。
すばらしい感想ですねーー
内容濃いです(^^♪
それだけすごい展覧会だった証でもありますね。
私も混雑さえしていなければ
また何度でも行きたいと思ってます。
うちのサイトにも遊びにいらしてくださいね。
(因みに「燃えよ剣」で学生時代読書感想文書きました)
投稿: Tak | 2005/02/04 09:02
takoさん、こんばんは。
ミュシャ展、見応えがありそうですね。takoさんの文章から気持ちの盛り上がりぶりがよくわかります。見に行きたい気持ちが更に高まっちゃいました。
本当にたくさんの作品が展示されているんですね。自分がどの時代の作品に心惹かれるのか、とか、好きだなと思っている作品の実物はやっぱり印象が違うんだろうか、とかわくわくすることばかり。
浜松はしばらく先なので、すごく待ち遠しいです。
投稿: 凍月 | 2005/02/05 01:39
■Takさん
TB&コメントありがとうございました。
お褒めにあずかって光栄です♪
>それだけすごい展覧会だった証でもありますね。
ですね~。ここ何年かで見た展覧会の中でも群を抜く素晴らしさだったと思います。
私もあと1回は見ておきたいです。
■凍月さん
こんばんは。寒い日が続きますね。
>見に行きたい気持ちが更に高まっちゃいました。
そう言って頂けると頑張って書いた甲斐があります。嬉しいです(^^)
観に行って絶対損はない展覧会だと思いますので、ゆっくり時間を取って堪能してきて下さいね。
感想、楽しみにしています。
投稿: tako | 2005/02/05 01:51
初めて伺います。「ミュシャ スラブ叙事詩」をインターネットで調べていたら、こちらにたどり着きました。お気持ちのこもった文章すばらしいですね。
そして、尊敬しているTakさんのコメントまであり、
うれしくなってしまいました。
私も行きました。ここまで揃っているとは・・・でも、1番観たい「スラブ叙事詩」がないのは、、、でも大大満足です。
サラが冠(ニューヨークの女神様のような)をつけたポスターがとても気に入ったのですが、あれは、『ロレンザッチオ』でしょうか?
投稿: Yuko | 2005/02/19 09:23
■yukoさん
こんばんは、訪問&コメントありがとうございます。
この展覧会は随分関心が高いようで私の最近の記事の中では閲覧数が群を抜いています。
見たまんまを勢いで書いた文章でひねりも何もありませんが、興味がある方の何かの参考になっていたらとても嬉しいです。
>サラが冠(ニューヨークの女神様のような)をつけたポスター
ナイフを手にしているものですよね。だったら「メデイア」だと思います。
見開かれたサラの目と横たわる青ざめた子どもが印象的な作品でしたね。
↓のページに画像がありました。
http://www.ak190x.de/Information/Kuenstler/mucha1.htm
投稿: tako | 2005/02/19 21:52
こんにちは!
庭園美術館「日本のジュエリー100年」に引き続き、ミュシャ展も見にいって感想を書いたのでTBさせていただきます。
ほんと良かったですよね~。もう1回見にいきたいです。
投稿: montblanc1201 | 2005/02/22 14:26
■montblanc1201さん
コメント&TBありがとうございました♪
本当に力の入った素晴らしい展覧会でしたよね。
私も早起きしてもう一度行ってこようかな。
こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: tako | 2005/02/22 20:44
はじめまして^^
私も昨日、ミュシャ展を観てきました!!
ブログに書きましたので
よろしかったらおいでませ(o^-')b
投稿: | 2005/03/16 20:52
あれ?アドレスぬけちゃったので。
ここです♪↓
http://gtr32gogo.ameblo.jp/
投稿: 璃絵 | 2005/03/16 20:53
■璃絵さん
こんばんは。
ミュシャ展も東京での会期はあと10日くらいですね。
かなり混んでいたのではないですか?
私もあと一回見ておきたいと思っていたのですが、ちょっと無理そうです。
残念…(T_T)
璃絵さんの感想もあとで読ませていただきます。
コメントありがとうございました。
投稿: tako | 2005/03/17 00:30