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2005/02/26

喜国雅彦/本棚探偵の冒険

本棚探偵の冒険
喜国 雅彦
喜国雅彦/本棚探偵の冒険マンガ家として有名な著者が「古本マニア」としての自分の体験を綴った抱腹絶倒のエッセイ。


面白かった~っ!
古本マニアの方の著作は扱っているものが<本>であるだけに私も興味を持って何度か読んでみようとしたことがあるんだけど、その内容のあまりの強烈さ (古本を求める心理状態など)に気持ちをシンクロさせることが出来ずに途中で投げ出してしまったことが殆どだった。
私のような新刊書店の平積みの文庫本を主に購入している<読むための>本好きと、 彼らのように古書店の奥や目録から長年探し求めた1冊をお金に糸目を付けず購入する<集めるための>本好きでは同じ「本」 を対象にしていても多分全く別の人種なのだろうな、と思う。
それはどちらが「いい」とか「悪い」ではなく単に価値観の相違ってことは納得できる。

それは判っているんだけど、 彼らの古書蒐集にかける情熱の部分が当然のように淡々と書かれている本を読んでいるとどんどん引いて来ちゃうのも事実。
「住んでる世界が違うんだから理解できなくて当たり前」って理解する前から諦めてしまう雰囲気が漂っているんだよね。(著者にも読者にも)
今まで私が読んだ作品というのはその辺の普通の人と古本マニアの価値観の差が埋められないまま書いてあるものが殆どだったんだけど、 これは違う!

何が違うかというと、著者の喜国氏は古本マニアである自分がそうでない人からどう見えるのかを判っている、ということ。
その上で、その「違い」とか「変な(と思われてしまうであろう)部分」を意識して強調して書いている。
そうすることで「古本マニア」な人たちの生理というのを、私のような普通の本好きにも理解できるようにしてくれているのだ。
しかも、それがかなり笑えるように書いてあるのは喜国氏のサービス精神の賜物だろう。
この本に出てくる喜国さんを始めとする古本マニア諸氏は、何だかすごく楽しそうなのだ。
なので、これを読んでいると「ついうっかり」その道に踏み込んでしまいそうになる(笑)
いやいや、実際に引き込まれた人もいるんじゃないのかな~、と思えるくらいの楽しい本だった。

函欠けの本に自作でオリジナルの函を作ってしまう「函をつくる(前後編)」と豆本を自作する「豆本が欲しい(前後編)」 の<作るシリーズ>(勝手に命名(笑))と、Tokioの「THE!鉄腕!DASH!!」を真似た企画に一人で挑む「ポケミスマラソン」 (一日でポケミスのタイトルを幾つチェックできるか)が特に面白かった。
本文の後に付いている古本好きのみなさんとの座談会も何だかよく判らないけどすごく楽しそうだったし。
楽しみ方って人それぞれなんだなあ。

「マニア」って聞くと内容を聞く前にちょっと眉を顰めてしまうことが多いけど、 ちょっと普通よりその好きの度合いが深いだけで他人に迷惑をかけることでなければ特に問題ないわけだよね。
却って対象についての愛情と言う点から言えば純粋な人々だと言えるのかも。
そうした理解を再確認させてくれるだけでもこの本は価値があると思う。

※文庫版裏表紙の紹介文の中の『"蒐めるだけで読まない人"が癒される一冊』と言うフレーズも好き♪


<関連サイト>
「こたくんといっしょ」
喜国氏の奥様で漫画家の国樹由香さんのサイト。喜国氏のページもあります。

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