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2005/02/06

米原万里/真昼の星空

真昼の星空
米原 万里
米原万里/真昼の星空ロシア語通訳の先駆者であり、現在自ら設立した「ロシア語通訳協会」 の会長を務める著者が'98年から'01年まで読売新聞紙上で連載したエッセイの文庫化作品。

米原万里さんは私が読む数少ないエッセイストの中の一人。
幼少時代をチェコスロバキアで過ごし、成長してからはロシア語通訳として活躍する中で体験した面白いこと、 楽しいことを勢いのある文章で表現してくれる。

このエッセイ集も小さい頃の思い出や仕事で出会った変なこと、もの、人など、意外性のある話が生き生きと描かれていて楽しかった。

とは言え、あまりにもイキがよすぎて、その内容が新聞紙上への連載だったと言う紙数に収まっていないと感じられるものも結構あった。
米原さんのエッセイは全編「起承転結」がハッキリしている。
「起」で書き起こされ「承」で受けられた話が、「転」で全く違った話に転がって「結」でオチがつく。
このうちの特に「転」の力、意外性と言うのはスゴイ威力である。
「その話からここに持ってきますか!」といつも驚かされてしまう。
そしてその先の優しく、暖かく、ユーモアに溢れたオチに辿り着くのだ。

しかしながら、その「転」の前の「起承」の部分も実はかなり面白いのが問題。
米原さんご本人は何でもないことのように書いているが、 ロシアやチェコスロバキアや通訳という職業など私の知らない世界のことがたくさん書かれていて「それでどうなったの?」 とどんどん先を読みたくなる内容が多い。
にも関わらず紙数の関係なのか無情にも話は「転」になって他の話に飛んでしまうのだ。
ああ、あの前半の話はどう決着が着いたのか…と、勢いよく場面転換した内容を読みながら少々消化不良な気分になってしまったのだった。
話が上手いのも考え物である(笑)

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コメント

偶然ですねぇ。
私も今、米原万里さんの「不実な美女か貞淑な醜女か」を読んでます。
大抵3冊くらい同時進行で読むので(^^;、
(ちなみに今は他に「竜の柩3」と三谷幸喜の「オンリーミー」です)
なかなかはかどりませんが、
おもしろいです。

はじめて読む人なんですが、そんなにエライ人だとは知りませんでした。
随分テンポのいい、しっかりした文章を書く人だなぁ~と言う印象です。
やはり、言葉で仕事をしている人ですから、
無駄なく的確な言葉を選ぶ、という事に慣れてるんですね。

一日2ページくらいしか読めない日もあるけど
(この本、やたら時が細かい気がします)
ボチボチ読んでいきます。

投稿: しろっこ | 2005/02/06 23:28

あっ、ごめん。
字、間違えました。

投稿: しろっこ | 2005/02/06 23:38

shirokkoさん、こんばんは~。
コメントありがとうございます。

私の勝手な思い込みですが、翻訳家さんってエッセイが上手い人多い気がします。
柴田元幸さんとか青山南さんとか。(最近読んでませんが^^;)
やっぱりshirokkoさんも指摘されているように「言葉を職業にしている」からかな、と私も思います。
米原万里さんは時々週末のニュース番組のコメンテーターでTVに出たりされてますね。

米原さんのエッセイではこの作品の前に読んだ「旅行者の朝食」も面白かったです。

投稿: tako | 2005/02/06 23:43

takoさん、おはようございます。

私も米原さんのエッセイ、大好きです。冷戦時代のソ連や東欧の話はとても興味深く、米原さんの文章力によってぐいぐい引き込まれます。でも、小説はいまひとつ、だったかな……。ノンフィクションをどんどん書いてほしい気がしました。

投稿: Tompei | 2005/02/07 10:03

Tompeiさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

>でも、小説はいまひとつ、だったかな……。

なるほど、私はまだ読んだことないけど何となく判る気がします。

想像ではなくて、実際に見たこと経験したことを意外な視点で切り取って描くのがとても上手ですものね。
私もエッセイだけでなく、もうちょっと分量があって読み応えのあるノンフィクションが読んでみたいです。

投稿: tako | 2005/02/07 22:46

母と妹が彼女のファンだったのですが、実家にいる頃は全然興味がなく手に取ったこともなかったのですが
図書館のエッセイコーナーでフラフラしていたらふと聞いたことのある名前があり借りてきました。

「真昼の星空」読書中です。
著者の着眼点が鋭くそして可笑しく、どんどん読めてしまいます。

特に〝美女の基準〟や〝望郷指数〟には驚かされました!

チェコから帰ってきた時にどの日本人を見て美しいと思ったのか知りたいですね~

投稿: aiko | 2005/04/15 16:52

■aikoさん

はじめまして、コメントありがとうございます♪

米原さんのエッセイは小さい頃からの外国暮らしで培われた広い視野で書かれた体験談がとても楽しく、しかも勉強になるので大好きです。
先日読んだ「旅行者の朝食」(これは「食べ物」に関するエッセイです)もとても面白かったので、もし未読でしたら是非読んでみて下さい。

投稿: tako | 2005/04/17 18:29

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