あさのあつこ/バッテリー3
バッテリー 3
あさの あつこ文庫になってすぐの1月上旬には買ってあったのに、何故かいつまでも読み始められずに部屋の中に積んであった「バッテリー3」。
会社の後輩に「持ってるなら貸して」と言われたのをきっかけにようやくページを開いた。
そうしたらもう一気読み。
電車の中で読みながら泣いてしまった。
相変わらず臆することのない瞳で自分の力だけを信じて真っ直ぐ前を見つめる巧の視線が痛かった。
子どもの頃って、自分のやりたいことがハッキリしなくて、信じるものも自分の内に確立しているものじゃなくて、いつも揺らいでいて頼りない。
でもだからこそ、外から攻撃されたときに衝撃を吸収する弾力があるというような状態なんじゃないかと思う。
少なくとも私はそうだった。
「今の私は、本当の私じゃない」そう思っていたからこそ、日々をやり過ごしてこられたあの頃。
それなのに、巧のようにあんなにも頑なに頭でも身体でも「自分」をきっちり作り込んでしまっていたら、
小さな衝撃で壊れてしまうガラスのように脆いんじゃないのかな。
あんな子が自分の傍にいたら、とても怖いと思う。
だから巧の傍にいる人間達は、大人でも子どもでも「怒るか、一生懸命になるか」してしまうんだろうね。
それでも巧の周囲が少しずつ変化していくのを感じる。
先輩達も、先生や家族、そしてバッテリーである豪の存在。
巧はこれからどうなっていくんだろう。
怖いけど、目を逸らさずに見つめていきたいと思う。
青波視点の書き下ろし短篇「樹下の少年」も収録。
う~ん、青波も大人だよねえ…。
こんな子ども持っていたら親は大変だ^^;
あ、そう言えば今回はお父さんの登場場面はなかったな。
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