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2005/03/06

幸せな「本との出会い方」

以下は過去('02年2月)に私が『ミステリを書く!』(小学館文庫) と言う本を読んだあとにWebサイトに載せるための感想として書いた文章です。
感想としてよりも一冊の本(一つの作品)とどう出会いたいかについて自分でも気に入っている文章の一つなので、改めてここへ転載してみます。
(なんちゃって、最近本の話題が少ないので過去の使い回しで時間稼ぎだったり^^;)


ミステリを書く!
綾辻 行人 法月 綸太郎 山口 雅也 大沢 在昌
『ミステリを書く!』
ミステリ評論家の著者と10人のミステリ作家たちとのロング・インタビュー集です。
登場する作家陣は綾辻行人、井上夢人、大沢在昌、恩田陸、笠井潔、京極夏彦、柴田よしき、法月綸太郎、馳星周、山口雅也(50音順) の10氏。
まさに「今をときめく錚々たるメンバー」ですね。
一人に30~40ページを割いていて量もたっぷりだし、聞き手が優秀なのか語り手たちが話し好きなのか判らないけど(笑) かなり突っ込んだ話まで載っていて読み応えがあります。
それにミステリへの、そして創作への熱い真摯な想いも十人それぞれから伝わって来る内容になっています。

この中で私が一番面白かったし、共感できたのは京極夏彦氏のインタビューでした。

『小説家と読者の接点はテキストだけでなければならない』

『小説家は滅ぶ、テキストは残る、そのくらいの書き方をしないと、良い作品は残らない』

『名前を消して匿名で出版して、それで受け入れられるテキストが本当だ』

と言う京極氏の話は「なるほど、その通り」って感じでした。

確かに、本屋で見たときのタイトルとか表紙とかそこにある印象だけで手にとって、 で読んだ結果が○だったって言うのが一番幸せな本との出会い方じゃないかと思うんですよね。
この作品に出会えた事に感謝したい、そしてあれだけ多くの本の中からこれを見いだせた自分を誉めてあげたい、と言う気分になります(笑)
またそれこそが本来ならば同じ価値でもって本屋の棚や平台に並んでいる作品への礼儀だと言う気もします。

ただ、そうやって読んだとしても読み終わった時点では「この作家のこの作品は自分にとって○(または×)だ」 って事は既に情報としてインプットされてしまうわけだから、 それが次に本を選ぶ上で何らかの影響力を持ってしまうと言うことは避けられないのがちょっと哀しいですね。
だからと言っていつも知らない作家の作品ばかり選ぶってのも、一般読者としてはかなりチャレンジャーな事だし(笑)
いや、やって出来ないことはないけど、お金とか時間のことを考えるとやっぱりちょっと難しい。
なのでつい「その作家の本は以前読んで面白かった」とか「○○が面白いと言っていた」、更には「この作家の考え方は好きだ(嫌いだ)」 といった、目の前にあるその本以外の情報を判断材料にしてしまうわけです。
でも、それって何となくフェアじゃないような気がするんですよね。
(こんなサイトをやっている私がこんな事言うのも何ですが^^;)

更に言わせてもらうと一読者の私としては、そのテキストが後世に残るかどうかなんかも関係ないと言いたい(笑)
単純に「今、自分が読んで面白いかどうか」が選択基準、評価基準の全てとして本を選びたいな、と思うわけです。

ただ、その分毎日何百と出版される本の中から自分にとってのそういう作品を発掘するのが、 私たち読者に課せられた試練なんでしょうねえ。
なかなかこれが大変な戦いなわけで^^;

作家たちが真摯に作品に取り組んでいる分、読者も自分なりの「見る目」を養わなくちゃならないと言うことなんでしょうね。
('02/02/10)

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