奈良谷隆/みぶろ
みぶろ
奈良谷 隆
旅芸人の一座に加わり京都にやってきた売れない咄家 珍平と役者見習いの朝太の二人は、
ひょんな成り行きから池田屋事件の直後で隊士を大募集していた新選組に入隊することに。
お互いの掛け合い漫才で客を笑わせることに生き甲斐を感じるようになっていた二人は、
新選組の中でもその話術と雰囲気で周囲を和ませる人気者となっていく。
ただ、彼らのどんな話にも笑わない男が一人だけいた。
それは周囲から「鬼」と恐れられている土方副長だった。
う~ん…。
「人前では決して笑顔を見せない土方をどうにかして笑わせようとする二人の奮闘ぶり…」という紹介文に惹かれて手にとって、
最初の10ページくらいを読んだ時点では「ちょっと面白そうかな?」と思ったんですが… どうやら錯覚だったようです^^;
著者によるあとがきを読むと「燃えよ剣」「姿三四郎」「坊ちゃん」が好きで、同じ時代を生きた新選組、西郷四郎(「姿三四郎」
のモデル) 、夏目漱石を一つに繋げた物語が書きたかった、とのこと。
そのためこの物語は第一部「笑わぬ男」(新選組の土方歳三)、第二部「怒らぬ男」(西郷四郎の師 嘉納治五郎)、第三部「泣かぬ男」
(夏目金之助)の三部から成り立っていて、その間を取り持つのが前述の売れない咄家と役者見習い、という構成になっています。
考え方としては面白いと思うのですが…お話そのものはつまらなかった。
ただ、なんとな~くその人物や歴史的事実をなぞっているだけ、エピソードとかもただ流れているだけ、って感じなんですよねえ。
ひっかかりも深みもない。
多分ページ数と内容のバランスが悪いんだと思うのですが。
何よりも「面白い」はずの珍平と朝太の会話がちっとも面白く聞こえてこないところがどうにも困ってしまったのでした。
人物設定とかはちょっとニヤッとしてしまうところもあったので、
もう少しテーマや時間を絞るかページ数が多かったらまた違っていたのではないでしょうか。
(個人的にはあまり先の時代にまで行かずに、京都での新選組の屯所内の話を丁寧に書いたものが読みたかったです)
それから、この内容の作品に「みぶろ」ってタイトルを付けるというのもちょっと違和感アリです。
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