篠田真由美/龍の黙示録
龍の黙示録
篠田 真由美
内容(「BOOK」データベースより)
保険会社を馘になり、 職を探す柚ノ木透子は、秘書の仕事を紹介された。 雇主の名は龍緋比古。美術評論や翻訳を手がけ、オカルト分野では有名な著述家だという。 明治期にも同名の人物がいることから、 「龍は吸血鬼だ」と先輩から脅される透子。が、白皙の美貌を持つ彼に気味悪さを覚えつつも、 鎌倉の古びた館に通うことになった。 一方、東京では吸血鬼都市伝説が蔓延、行方不明者が続出していた。 まさか彼が関係している?やがて透子の周囲に起こった変事… 。 果たして龍の正体は。
う~ん…全体的な物語の雰囲気やテーマは好きなんだけどねえ…登場人物というか人間関係にどうも馴染めなかった。
何よりもこの物語のキーパーソンである柚ノ木透子の存在が苦手。
彼女のこだわりとかプライドの有り様とかがよく判らない。
確かに自分では全然価値を認めていないことを強要される辛さというのはあると思うけど、こだわる部分があまりにも当たり前過ぎる気がして…。
そういうことにこだわって世の中と上手くやっていけないのって(私の身近にはあまり見かけないけど)小説の中ではよくあるタイプ。
少なくとも何千年も生きているような「人間じゃないもの」に「彼女は特別だ」
と思わせられるような魂を持っているようには思えなかったんだけど。
確かに闘い始めてからの透子はすごいと思うけど…全体的に見ると「そんなに?」って感じてしまうんだなあ。
まあ、そういう「一人で何でもやろうとして、結局事態を悪化させる拘り」
をライルにたしなめられる部分もあるので敢えてそういう性格設定にしてあるんだろうけど、何となく「納得出来ないわ~」な感じが残った。
あと透子のアキレス腱である翠への気持ち(こだわり)も謎。
「翠は大好きだけど、他の女の子は苦手」って感覚がよく判らないんだけど、透子さん。
そんなに違ってるとは思えないんだけどなあ。
自分が「他人と一括りにされること」を嫌うくせに、他人はまとめて判断するのってどうなの?っても思うし。
翠自身も前半はちょっとねえ…。
後半はいい感じに荒れてきて面白かったけど(なんつー言い草!^^;)。
透子の曾祖母・二葉についての記述はほんのちょっとしかなかったけど、
それでも彼女の方がずっとヒロインに相応しいと思わせるものがあったような気がする。
透子もあの明るさとこだわりのなさ、優しさを受け継いでるんでしょ?
今のところ外に出てるのは「後先考えない行動力」くらいみたいだけど、この後の作品では回を重ねるごとに変化していくんだろうか。
キリスト教がらみのテーマとか緋比古とライルの主従関係とかはいい感じ。
巻末の恩田陸さんとの特別対談と恩田さんの解説も楽しかった。
解説によるとこの次の津軽編が面白いらしいので期待してみようかな。
それから表紙のデザイン(柳川貴代+Fragment)もすごく印象的でステキでした。
(この表紙が目に留まったので手に取ったのです)
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■篠田真由美公式ページ
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