ライザ・ダルビー/紫式部物語(上)
紫式部物語―その恋と生涯 (上)
ライザ・ダルビー
内容(「BOOK」データベースより)
紫式部に自分の身をおきかえて、彼女の日記から読みとれる自己分析とか和歌が書かれた背景に基づいて、回想録の形で書いてみました。 「源氏物語」の作者の生涯が今ここに鮮やかに蘇る。日本人の発想を超えた卓抜した大河小説。
上下巻のうちの上巻。
のちに紫式部と呼ばれることになる少女「ふじ」が『源氏物語』を書き始める17歳頃から、夫・
藤原宣孝を亡くす30歳頃までの出来事が描かれています。
四季折々の自然の様子や、季節ごとの行事、慣習、装束、家具・調度など、情報量はかなり多いのに、印象としてはとても平板な感じ。
緩急や陰影、強弱があまり感じられず、ただ平面的に情報が並べられている感じ。
なんだかガイドブックでも読んでいるような気持ちになってしまいました。
主人公である「ふじ」の身の上にも15年ほどの間に、近しい人との別れ、父親ほど年の離れた相手からの求婚、 都を遠く離れての田舎暮らし、異国人との恋などなど様々な出来事が起こり、それにより苛立ち、喜び、葛藤、 悲しみなどの感情があっただろうと想像は出来るけれど、全ての感情が同じようなトーンで流れていってしまうのでその出来事(感情)が「ふじ」 に、更には彼女が書き綴っている「源氏物語」にどう影響しているのかを理解することが出来ませんでした。
彼女の人生の中で「源氏物語」というのはかなり大きなウェイトを占めていて、彼女の経験や性格、 知識が作品に大きく反映していると思うんだけど、そうした臨場感や切迫感もあまり感じなかったなあ。
ところで、この時代の高貴な女性って「終日座っていて、立ち上がることさえはしたない」って感じなのかと思っていたんだけど、「ふじ」
は結構活動的なのでビックリ。
それともそんな今では考えられないような(不便そうな)生活をしていたのは本当に<やんごとない>方々だけで、「ふじ」
くらいの身分だったらこんなものだったのかな。
あと、女性同士の恋愛関係の話なんかもかなり当たり前のように書かれているのも驚き。
「ふじ」が親しくしていた女友達は「友人」ではなく、みんなそういう関係だったみたいなんだけど…。
当時ってそういう時代だったんですか?
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