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2005/10/18

高里椎奈/銀の檻を溶かして

銀の檻を溶かして
高里 椎奈
銀の檻を溶かして

内容(「BOOK」データベースより)
賑やかな街の一角に、その店は存在する。燻べたような色の木の板、木の壁、木の天井。まるでそこだけ時に取り残されたかのような―その店。 蒼然たる看板に大書された屋号は、『深山木薬店』。優しげな青年と、澄んだ美貌の少年と、元気な男の子の三人が営む薬種店は、だが、 極めて特殊な「探偵事務所」で…!?メフィスト賞受賞作。

う~ん…微妙な読後感。
事件に全部片が付いてエンドマークが出ても、なんとな~く納得できないこの据わりの悪さが気持ち悪いなあ。
つまらなかったというわけじゃないんだけどね。

座りの悪さの原因は、まず何よりも探偵役として出てくる3人の存在。
この『優しげな青年と、澄んだ美貌の少年と、元気な男の子』の3人組、「実は妖怪」らしいんだけど…その必然性がどこにあるのかわかんない。
確かに設定としては面白いかもしれないけどね…少なくともこの話の内容だったら別に人間以外のものである必要もないのでは? という気がするんだけど。
だって、別に人間じゃないからってそんなに特別なことが出来るわけじゃないんだよ。
例えば空が飛べたり、瞬間移動したり、超能力が使えたり、特別な武器を持っていたり…とか。
強いて言えばちょっと勘が良かったり手妻が使えたりする程度?
あ、あと恐ろしく長く生きているせいで知識はたくさんあるらしい。
でもそれだけなんだよね。
メインとなる事件との関わりも、謎への近づき方も非常に地道で人間っぽいのだ。
人の出入りを確認するために窓やドアに糸を張って回る妖怪って…(笑)
別にそれはそれでいいと思うんだけど、そうすると「じゃあ何故人間じゃなくて妖怪なのか」という最初の疑問に戻ってしまうんだよなあ。
まあ、確かに普通の20代後半の姿をしている座木(くらき) はともかく小学生にしか見えないリベザルや高校生くらいの秋が学校に行かずに探偵してられるのは妖怪だからってことなのかも知れないけど… でもだとしたら人間の姿をしている時点で周りの人間には言い訳は通じないでしょう?

もちろん「お話」なんだから何でもアリという状況もあるし、実際どんなに荒唐無稽、理不尽でもそれが納得できちゃう物語もある。
でも、それにはそれなりの説得力や迫力が欲しいところ。
「ここはこういう世界なの、問答無用!」ってね。
でもこの物語はそこまでは行ってなくて全てが中途半端なまま投げ出されてるって印象なんだなあ。

あと、会話文が時々すごく独りよがり、 思わせぶりで誰が誰に向かって何を話しているのかが全く判断出来なくなってしまう部分があったり、 物語の展開も結構無駄な部分が多かったように思う。
前半と後半のエピソードが随分バラけてしまっているようにも思えたし。

でもその、 かなり広がってしまった物語の中から細かく散らばった伏線を一つ一つ掬い上げて結末へと導く謎解き部分は丁寧で好感が持てた。

この全てをしょってるのは主役3人のキャラクターだと思うので、それにハマることが出来るかどうが作品のイメージを左右する鍵かと。


<関連サイト>
久彼山博物館(本人によるサイト。携帯用なのかな?)

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