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2005/11/27

赤瀬川原平/名画読本 日本画編

名画読本 日本画編
赤瀬川 原平
赤瀬川原平/名画読本 日本画編

出版社 / 著者からの内容紹介
えっ、日本画ってこんなに前衛〈アバンギャルド〉だったの?

古臭い、堅苦しい、偉そうだ、とっつきにくいなどの先入観があった日本画に、ユニークな視点で新たな鑑賞術を提案する。 北斎の目は高性能カメラだ。「ぼかし」の技術が鑑賞者を快感に導く。日本画は空腹の絵画である……。北斎、広重、歌麿から雪舟、等伯、 光琳まで、巨匠11人の名画14点の奥義に迫る。本文カラー、解説・山下裕二

この本を本屋で見つけたのが東京国立博物館で「北斎展」 を見た直後。
<日本画>という言葉に反応して手にとってパラパラとページをめくってみたら、まさにそこには先日見たばかりの北斎の「神奈川沖浪裏」と 「凱風快晴」が!
しかも著者が赤瀬川原平さんだったら買ってみるべきでしょう、ということでお買いあげ~。

で、読んでみたわけだけど…とても面白かった。

上の内容紹介に「古臭い、堅苦しい、偉そうだ、とっつきにくいなどの先入観」とあるけど、 私はあまりそういうふうには感じたことがない。
むしろ、抽象的な絵や彫刻などのほうが苦手なので、人物にしても風景にしても基本的に具象である日本画はどちらかというと 「何が書いてあるか判りやすい」という意味でとても親しみやすく感じていた。
でも、それ以上でもなかったことも事実。
ただそこにあるものを見て(というより「眺めて」)いるだけ、って感じの鑑賞しかしていなかったことにこの本を読んで気付かされた。

例えば先日見た「北斎展」でも「神奈川沖浪裏」は “すごい波。青がキレイ。富士山、ちっちゃ~い”、「凱風快晴」は “これが有名な 『赤富士』かあ”くらいしか感想がなかった。
(ムチャクチャ頭悪い感想だな~。恥(泣))

それに対して、この本の中で赤瀬川氏が一枚の絵から読みとる情報量、そしてそこから画家の感情、 作品が描かれた時代背景などを想像する発想力の豊かなことは、同じ絵を見て書いたとはとても思えないものだった。

もちろん氏は自身が有名な前衛美術作家であり私なんぞとはその基本的な才能、素養からして違う、というのも確かにあるだろう。
でも、氏がその題材にした絵の中に見えるものは、同じく私にも見えているはずなのだ。
例えば「神奈川沖浪裏」の中に描かれた小舟にしがみつく波に比べてやけに小さい人々とか、「凱風快晴」の中の鰯雲のいい加減な感じとか。
でも、見えているにも関わらずそれは見ている私の意識には残らない、そんな見方しかしていなかった。

最近、展覧会に行って余裕があるときは館内で貸し出しているイヤホンガイドを借りることが時々ある。
展示してある代表的な作品についてその作品のモデルや時代背景、画家の意図、当時の境遇などを解説してくれる。
これがあるとそれまで目に入らなかった細かいディテールが見えてきたり、 その絵に画家が込めた意味を少しは理解できて絵そのものが一回り大きく、一段明るく見えたりすることがある。

この本の内容というのも、基本的にはそのイヤホンガイドと同じで鑑賞者の意識をより目の前の絵に近づける働きをしてくれている。
ただ違うのは、イヤホンガイドの中にはその絵には描かれていない知識も入っているけれど、赤瀬川氏の解説はほぼ全てがその絵の中にあるもの、 作品さえ目の前にあれば誰でも見えるものが書かれている、ということである。
だからその気持ちがあれば、誰にだって(解釈はともかく)見ることだけは出来るのだ。
で、「見る」ことが出来れば、それをどう解釈しようが自分の好きでいいのだと書いてあった(ような気がする(笑))。

これからも美術館・博物館に足を運ぶ機会は多いと思うので、赤瀬川氏を見習って<見るときは一生懸命に、 でも解釈は自由に>することで今まで以上に楽しめそう。
西洋画編もあるようなので今度読んでみようっと。

最後に残念だったこと。
題材になっている絵はそれぞれ見開きカラーで掲載されているんだけど、 その作品と比較するために語られた他の作品については図版がなかったこと。
小さくてもいいので載せてもらえるともっと判りやすかったのになあ…。

赤瀬川原平の名画読本―鑑賞のポイントはどこか
赤瀬川 原平
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