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2006/01/07

ドラマ:「新選組!!土方歳三最期の一日」

『「新選組!」の続編』のニュースを話題にしたのが去年の5月末。
“まだ半年も先だなんて。早く見た~い!”と思っているうちにあれよあれよと日々は過ぎていき、 去る1月3日ついに本編も放映終了してしまいました。
以下、ちと遅くなりましたが感想です。
(前後関係とかセリフとか忘れている部分が多いです…^^;思い違いがあったらご指摘下さい)


すごく面白かった!

最初の「待たせたな」の一言で、ガッチリ掴まれてしまいました、な感じ。
なんかこのセリフだけでジワッと来ちゃったもん。
その後、島田たちに新選組の後を任せ、鉄之助を多摩に使いに出す辺り、そして会津での斎藤との別れのシーン、 遙か昔のようにも思える試衛館での食事のシーンを挟まれた前半はホントに哀しくて懐かしくてボロボロ泣いてばかりだった。

一転して現在の函館。
「ここが死に場所だ」 と決めていた総攻撃の前夜に降伏すると言い出した総大将の榎本を翻意させるために今まで肌に合わないとあまり近く接してこなかった土方と榎本、 そして大鳥が膝をつき合わせ自分の意見を闘わせる。
その議論の中で3人はお互いの夢を想いを語り合い、やがて胸を開いてお互いの意見を話し合えるようになる。

この3人の場面がまたよかった。
土方役の山本さんは全てを見きってただ「死」だけを見つめてきた土方が身につけていただろう落ち着きや優しさ、 その内にをある激しさを見事に表現していたし、榎本役の片岡愛之助さん、 大鳥役の吹越満さんは最後の幕府軍を率いる長として重厚さと同時に一人の若者としての若々しさ、軽さ、情熱がその仕草やセリフに現れていた。
3人の互いに「苦手だ」と思っていた若者たちが、必死で自分の意見をぶつけ相手に自分の気持ちをわかって貰おうと言葉を尽くした結果、 共感や相手への尊敬が生まれていく様子があの短い時間の中で見事に表現されていたと思う。

何より印象的だったのは総攻撃の場を「自分の死に場所だ」と決めていた土方に「生きる」ことを選択させたこと。
死ぬための闘いしか考えていなかった土方が榎本の夢に賭けて生きるための闘いを考えるようになる。
いつも軍議で見慣れた函館の地図(ジオラマ?)を見ながら、
「死ぬための作戦を考えながら見るのと、生きるための作戦を考えながら見るのとでは全然違って見える」(意訳です^^;)
という土方の言葉が印象的だったなあ。

その土方が敵の奇襲で崩れた新選組を建て直しに向かった函館山で敵の銃弾に撃たれてしまう。
あのシーンのあまりのあっさりな感じが意外であると同時にリアル過ぎて怖かった。
例えば源さんとか総司の最期のシーンとかってもっとドラマっぽくて派手だったじゃない。
だから土方の最期にはどんなシーンが準備されているのかと思ったら、あんなにアッサリと撃たれてしまうなんて…。
でもそのまま死んだと思っていた土方が再び立ち上がって敵に斬りかかり、最後に「新選組副長」 と名乗りを上げてから倒れていくところは土方らしかったな。
最後に、死んでいこうとするトシを迎えるように微笑んでいた勝っちゃんの笑顔が心に残った。

ホントに「最期の一日」に焦点を絞った構成だったのがとても効果的だったと思う。
もちろん近藤の死後、函館に行くまでも行ってからも短い期間にいろんなことがあったから、そうしようと思えばいくらでもネタはあったと思う。
(私はあの料亭(?)の女将役のナンノとロマンスな場面があるのかしら…なんてことを考えてしまったんだけど^^;)
でも、何度かの連続ドラマならいざ知らず、一日だけしかも1時間半という短い時間の中で土方の人生を、 想いを昇華させようと思ったらやっぱり余計なことは描かずにその日一日を丁寧に描ききることにしたのだと思う。
そう決断した三谷さんに拍手を贈りたい。
そしてその力作を見事に演じきった俳優陣にも。

でも、土方がああして何も思い残すことなく逝けたのは、 やっぱり一度生きることを見切って自分のあとを託す作業をしておいた結果じゃないのかな。
きちんと生きていくためにはもしかしたらどこかで一度自分をリセットする作業も重要なのかも。

なんてことを考えたお正月ドラマでした。


<関連サイト>
NHKドラマホームページ
Shinsengumi Express!!
山本耕史Offical Fanclub


同じくこのドラマの感想を書かれている「葉桜日記」Tompeiさんの『ドラマ「新選組! ! 最期の一日」』にトラックバックさせて頂きました。

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コメント

takoさん、こんばんは。
トラックバック&リンク、そしてコメントありがとうございました!

いちいち「うん、そうそう…」とうなずきながら、読ませていただきました。

>最初の「待たせたな」の一言で、ガッチリ掴まれてしまいました、な感じ。

私も同じです(^^ゞ。池田屋事件の時の名台詞でもあり、私たちのような新選組ファンへのメッセージでもあるこの一言にはニンマリしてしまいました。

>あのシーンのあまりのあっさりな感じが意外であると同時にリアル過ぎて怖かった。

「そろそろ…」とは思ったけれど、まさかあんなにあっさりと撃たれるとは……ね。「え~、もう死んじゃうの~?!」と動揺していたら、敵に斬りかかって名乗りを上げたので、悲しみつつも納得し満足いたしました(^^ゞ。

今夜のBS放映分を録画したので(3日は裏録(^^;)、後ほどゆっくり見たいと思います。

投稿: Tompei | 2006/01/07 22:29

■Tompeiさん
こんにちは。コメントありがとうございます。

「最期の一日」、見応えがありましたね。
終わってしまうのは残念ですが、みんなが愛したあの物語にエンディングマークを付けるに相応しい出来だったと思います。
(記事に書くの忘れちゃいましたけど^^;)最後に鉄之助が走っていく緑の草原とどこまでも広がる青い空も印象的でした。

来週からは三谷さん脚本・監督の「THE 有頂天ホテル」が公開されますね(^^)
今から楽しみです。

投稿: tako | 2006/01/08 00:20

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受信: 2006/01/25 00:37

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