南原幹雄/新選組探偵方
新選組探偵方
南原 幹雄
内容(「BOOK」データベースより)
幕末の動乱に身を呈した男の集団。新選組!その「探偵方」として、新選組をめぐる数々の事件に挑む沖田総司の活躍を、 斬新な視点で活写する痛快時代ミステリー!
屯所の内外で起こる新選組絡みの事件の謎や犯人を沖田総司が突き止める…という設定の時代ミステリー。
「総司が見た」「残菊一刀流」「風雲六角獄」「祇園石段下の暗殺」「銭取橋の斬撃」「よく似た二人」「耳のない男」の7編を収録。
う~ん…一番不思議だったのは、なんで総司が探偵なの?ってこと。
新選組の一番隊組長の上に、労咳病みの総司くんにはそんな暇も体力もないと思うんだけど(笑)
それに性格的にも、こういう仕事は向いていなさそうな気がする…。
むしろトシのほうが合ってそう。
薬屋に化けて巧く聞き込みとかしてきそうだ(笑)
と言っても、別に総司くんは変装したり、尾行したり、敵に知られないように相手を調べたり、みたいな面倒なことは殆どしなくて、
怪しいと思ったら直接会いに行って「どうですか?」って訊いちゃうという直球勝負。
この辺は確かに総司らしいかも…^^;
探偵役(というか主役)に総司が選ばれたのは、この本が出版されたのが今から18年前だってこともあるのかも。
その頃は新選組って言ったら一番知名度があったのが「薄命の天才剣士」である彼だったような気がするから。
でも、そうして総司を探偵役としながらも相棒として地味な監察方の島田魁を登場させている辺りが面白い(笑)
で、物語のほうなんだけど…いきなり「芹沢鴨を暗殺したのは誰だ」って話だったんで驚いた。
そっか~、あれを「新選組の暗殺ではない」って考えで行くんですか。
しかも残留品は隊の制服…大胆過ぎます(笑)
犯人もかなり意外!なるほど、そういう考え方もありますか。
と言っても、あんまり現実味はないと思うけど。
このほかに、「池田屋に桂小五郎がいなかったのは何故か」とか「蛤御門の変のときに六角獄に捕らえられていた浪士を惨殺したのは誰か」 などの歴史的事実の裏側に迫る内容のものがあるんだけど、そういう話よりも 「新選組隊士の名前を騙って商家から金を強請り取る犯人を見つける」 話や「局長を襲った犯人を探す」 話など新選組の内部紛争的というかあまり大きくなりすぎない身近な話のほうが物語として巧くまとまっていた感じ。
物語全編を通して描かれる総司とお菊の恋物語もしっとりした大人の雰囲気でなかなかよかったのに、
ラストは何となく尻つぼみで終わってしまったのは残念だった。
この2人の関係こそ何らかの形で決着をつけて欲しかったな。
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