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2006/01/25

大石英司/神はサイコロを振らない

神はサイコロを振らない
大石 英司
大石英司/神はサイコロを振らない

出版社 / 著者からの内容紹介
かつて、忽然と消息を絶った報和航空四○二便YS-11機が突如、羽田空港に帰還した。
しかし六十八名の乗員乗客にとって、時計の針は十年前を指したまま……。戸惑いながらも再会を喜ぶ彼らと、 その家族を待ち受けていた運命とは??
歳月を超えて実現した愛と奇跡の物語。

先週から始まった同名ドラマの原作本。
今日放送予定の第2回までに読み終わりたかったので予定通りに進んで一安心。

面白かった。

10年の時を超えて戻ってきた68人(そのうち物語の登場人物として名前を与えられているのは18人)が、 奇蹟のように与えられた短い時間のなかで家族や友人、恋人と寄り添い、和解し、やりたいことを淡々とこなし、 そしてまた夢のように消えていくまでの物語。

彼らを迎える家族や航空会社の関係者や、その他支援する人々がみんなちょっといい人過ぎるかなあ、とか、 なんでみんなこんなに淡々と自分の運命を受け入れてしまえるのかなあ、という微妙な違和感はあるものの、 全体的に彼らの奇跡を気分良く読むことが出来た。
中には裏切った恋人の家族を殺し自らも命を絶つものや、 昔の仲間を襲って立て籠もる犯罪者もいたりして全てが幸せになって最後を迎えるわけではないけれど、 そうしたエピソードもまた幸せなエピソードと同等に淡々としかも丁寧に(更にはユーモアも交えて) 描かれているからこそこの物語は不思議な現実感を持って成立しているんだと思う。

この本を読みながら「残された日があと3日だったら、私はなにをするだろう」ということをずっと考えていた。
または「誰かと一緒にいられるのがあと3日間だけだとしたら、自分はその人に何をしてあげられるのか」
多分、これはこの本を読んだ誰もが一度は考える命題なのではないだろうか。
3日という短い時間の中で「これだけはしておこう」と思うことこそが、そのとき自分が一番望んでいること、大切にしたいもの(こと、人)なのだと思う。
いつまでも続くように思えてつい怠惰に過ごしてしまいがちな「今」も、もう二度と戻っては来ない。
そして必ず来ると思っている「明日」が来なくなる日も必ず来る。
それがいつになるか判らないからこそ、私たちは「今何をやりたいのか、何を大切にしなければならないか」を、こうやってときどき自分に問いかける必要があるのかも知れない。

ドラマは設定は同じだけれど、随分違うストーリーになっていきそうな予感がする。
なんたって主人公の黛さんの性別が違ってるんだから!(笑)
でも、多分それでいいんだと思う、この物語は。
402便に乗っていた乗客は別に選ばれたわけでもなんでもない普通の人々だったから。
だから、どんな人たちの物語になったとしてもそれはそれでホントウなんだと思う。
そういう懐の広さを持っている、そんな物語だった。

ドラマを見ている人も、そうでない人にもお奨めの一冊。


大石英司の代替空港


■ドラマ:「神はサイコロを振らない」公式サイト

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コメント

こんばんは。
昨日初めて『神はサイコロを~』をTVで観て
予想以上に面白くて、
明日ブログで書こうと思っていたら、
takoさんも取り上げられていたので、
運命を感じて(?)TBさせていただきました。
原作本も今日購入したので、読んでみようと思っています。

投稿: 濱 登良子 | 2006/01/26 20:17

■濱さん

こんにちは。
トラックバックとコメントをありがとうございました(^^)

最近あまり連続ドラマは見ていなかったのですが、この1月のドラマは3本も観ています。
そのうちの1本がこの「神はサイコロを振らない」です。
タイトルが印象的だった(アインシュタインの有名な言葉らしいですね)のと、ストーリーのわりに雰囲気が軽めだったので大丈夫かな?と思って見始めました。
思った以上に楽しく見ています。
原作はどちらかというと戻ってきた乗客メインなのですが、ドラマは(今のところ)黛さんメインのようですね。
しかも、原作はあんなにとぼけたシーンは多くないですし(笑)
でも、私はあれはあれでドラマとしては成功していると思います。
あの原作から設定を持ってきていながら、ドラマのあの雰囲気を織り込んでいる脚本家さん、演出家さんのセンスはなかなかだと思います。

来週くらいからだんだん帰還した乗客と家族との接触が出てくると思いますが、どんな展開になるのか楽しみです。

こちらからもTBさせていただきました。

投稿: tako | 2006/01/26 21:58

こんにちは、度々すみません。
当ブログにまでコメントとTBをお寄せいただき、
ありがとうございました!
カンゲキのあまり、
どうやら操作を間違えて、
再度こちらにTBしてしまったようです。

お手数をおかけしますが、削除いただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

投稿: 濱 登良子 | 2006/01/28 01:08

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昨日の日経新聞夕刊に、 脚本家の岡田恵和さんがこんなことを書いていた。 ここ最近 [続きを読む]

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