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2006/02/05

秋山香乃/新撰組捕物帖-源さんの事件簿

新撰組捕物帖----源さんの事件簿
秋山 香乃
4309017355

新撰組副長助勤・井上源三郎ははたらき者のあにき分、持ち前のお節介・好奇心に火がつき、さまざまな事件にでっくわし、 かけずり回ることになる。そんな源さんにいつしか平隊士・中村久馬、監察方・尾形俊太郎もまきこまれ……。
河出書房新社公式サイトより)

面白かった♪

何といっても、著者の新撰組への「愛」によって裏打ちされているのであろう緻密な設定や読みやすい文章に好感が持てた。
新撰組の隊士たち(土方、沖田、斉藤、尾形などの幹部から、中村ら平隊士まで)の性格や言動の描写がとても丁寧で、 多分読者がこの人はこうだったんだろうなと思っているであろう部分を過不足なく取り上げ、 クセはあるけどイヤミのない若者たちに仕上げているのがいい。
特に沖田の設定はかなり好きだな~。
うん、私の中の沖田はこんな感じだよ(笑)

そして探偵役の源さん。
面倒見がよくて曲がったことが大嫌いな部分はドラマや本でよく見かける源さんだけど、 それに加えて局長や副長の顔は立てるけど年長者として言うべきことははいう強さと「口うるさいトシがいないうちにやっちまおうぜ」 という行動力、そしてそれが見つかったときの開き直りなど、今までに見なかったサバサバした源さんが描かれていて楽しかった。
特に一見仲が悪そうに見えて、実は…といった感じの監察方・尾形とのちょっとずれた会話の面白さと、沖田との親子(叔父と甥?) みたいな愛情溢れるやり取りは秀逸。

彼らが遭遇する事件にしても、新撰組の内部で起こることが中心で、 それ以外の場所の事件にしても歴史的なことなどではなく身内の問題がたまたま外に出てしまったよ的な内容であるところが、 源さんを探偵役として配した設定にちょうどあっていて違和感無く読めた。
事件の謎を解くための捜査(?)活動や、そこから見えてくる事実の出し方、伏線の張り方などもよく考えられていたと思う。
結末として「それはちょっと反則では」という話もなきにしもあらずだけど、このくらいの内容の話だったらそれもアリかな、と許せる範囲。
何より唐突にその結末が出てくるのではなく、その気配をちゃんとあらかじめ報せてくれる描き方をしてあるのが良かった。

一番驚いたのは最終話。
それまでいい調子で探偵役をやっていた源さんだったので終わりまでその調子で続くのかと思いきや、 いきなり土方が源さんの死を沖田に伝えに行くところから始まるのには本当にビックリした。
(このあとの土方と沖田の会話がいい。泣けます)
こうして、このままシリーズ化すればいいのに、という私のケチな考えはアッと言う間に打ち砕かれたのでした(笑)

確かにあまり骨太な感じはないし、多少少女趣味的なところもあるけど、でもきちんと一本筋の通ったいい作品だと思う。
ラストのまとめ方も巧かった。

「仇討ち」「二人総司」「新撰組恋騒動」「怨めしや」「源さんの形見」の5編を収録。


<関連サイト>
秋山香乃の館

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