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2006/04/12

坂木司/仔羊の巣

仔羊の巣
坂木 司
4488012914

内容(「MARC」データベースより)
引きこもりの探偵、鳥井真一とその友人、坂木司。この二人をとり巻く周辺に、またまた不可解な謎が発生する。 鳥井は自慢の料理の腕をふるいながら、次々と謎を解いていく。鳥井が看破した真実とは…?

『青空の卵』に続くシリーズ第2弾。
「野生のチェシャ・キャット」「銀河鉄道を待ちながら」「カキの中のサンタクロース」の3編を収録。

相変わらず柔らかい雰囲気の文章が読みやすい。
…けど、主役2人の関係に違和感があるのも前作同様だった。
まあ、人物が変わらないんだから当然だけど(笑)(しかも主役だし)

今回、印象的だったのは「野生のチェシャ・キャット」で滝本から

「で、坂木。お前は満足なのか?」
(中略)
「お前は、鳥井を独り立ちさせるために、あいつを突き放すことが出来るのか?」

と訊かれた司が狼狽えるシーン。

こういう部分を読むと著者も真一が司に頼り切っているだけでなく(いや、多分それ以上に)司こそが真一を必要としている、しかも 「自分を必要としている真一を」必要としている関係だと判って書いていることが判る。
医学的に正確なことはよく判らないけど、多分「共依存」って関係なのかな?
読んでいると、ひきこもりで家から出られない真一よりも、普通に会社に行って社会人やっていて、人当たりもよくて、 友達思いで普通に見えるけど、実はその行動全てが鳥井真一という一人の人間に支配されていて「あいつをどうにかしてやりたい」と思いながら、 でも「あいつには僕がいなくちゃダメなんだ」と強く思っている(「願っている」)司のほうが、もしかしたら重症なのかも…と思えてくる。
だって真一には(多分)「自分は人と違う」って自覚があると思うから。
司はその辺どうなのかなあ。
もしかしたらあるかも知れないけど、でも自分で判ってる以上に司の症状は重いんじゃないかと思えてしまう。
だって、「自分の感情が相手に影響する」って判っていたら、普通はそれをコントロールする力を持とうとするじゃない?
この2人の場合、司が泣けば真一が取り乱すのは判ってるんだから、そんなに簡単に泣かないだろうと思うんだけど。
しかも、27歳にもなるのに…。
この「男が泣くのがどうこう~」について、何気なく(?)弁解のような反論が書いてあった(「銀河鉄道を待ちながら」)のも何かイヤだった。
(同様に「カキの中のサンタクロース」で出てきた「ホモ疑惑」への反論も書き方があざとくて鼻に付いたなあ。「よく考えれば、 他の選択肢があったことも判ったはずだ」って…何?私は明日香の感覚ってけっこう普通だと思うんだけど)
私だって別に「男だから」泣いちゃダメとは思わないけど、何だか司の涙ってあまりに軽すぎて、まるで 「真一の心が自分から離れていないかどうかを試すため」のものように思えてしまう。
何年鳥井と付き合ってるんだって話だし、本当に鳥井をどうにかしたいと思っているようには思えないんだよねえ。

それ以外の、物語の構成とか、事件の内容や解決方法とか、人物設定、前後の物語との繋ぎ方なんかは巧いと思うので、 もうちょっとこの主役2人の関係がドライかつクールだと読みやすいんだけどなあ…。

といっても、こういう2人が主役の話なんだから仕方ないんだけどね。
ラスト1冊、読もうかどうしようか悩むなあ^^;
でも、冒頭で滝本にああ言わせてるってことは著者としてもこの2人の関係を変化させて終わらせる意志があるってことだよね。
どこに着地したのか、もう1冊付き合って確認してみようかな。


<このシリーズの他の作品の感想文もよかったらどうぞ>
青空の卵

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