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2006/06/13

藤原正彦/国家の品格

国家の品格
藤原 正彦
4106101416

内容(「BOOK」データベースより)
日本は世界で唯一の「情緒と形の文明」 である。 国際化という名のアメリカ化に踊らされてきた日本人は、この誇るべき「国柄」を長らく忘れてきた。「論理」と「合理性」 頼みの「改革」 では、 社会の荒廃を食い止めることはできない。いま日本に必要なのは、論理よりも情緒、英語よりも国語、 民主主義よりも武士道精神であり、 「国家の品格」を取り戻すことである。すべての日本人に誇りと自信を与える画期的提言。

今朝、TVで本のベストセラー・ランキングを見たら、この本が相変わらず1位だった。
しかも新書史上最速で200万部突破とのこと…(驚)

まあ、売れているもの(本に限らず)というのは人の目に触れる機会も多いので、売れれば売れるほど「(そんなに売れてるなら) 買ってみようか」と思う人が増えて更に売れるってことなんだろうなあ。
しかも「本」ってお試し出来ないし。
それが判ったうえで敢えて。

何故この本は売れているんだろう?

だって…別にビックリするようなことも目から鱗なことも書いてない、普通の本だとしか思えないんだもん。
少なくとも私はあまり感心しなかった。
正直「いい本」「優れた本」ではない、と思う。

確かに「日本人としての誇りと価値観、欧米の模倣ではない『品格』を持った国を取り戻そう」という主張自体は否定するものではない、 むしろ「正しい」と思えるんだけど…それ自体は別に目新しい考えでも何でもないでしょう。

ただ、こういう内容でも書き方によっては面白い本になる可能性はあると思う。
でも、この本は読んでいる間中「う~ん…」とか「???」とかばっかりで。
何がダメだったかというと、その内容を展開するときの話の持って行き方だと思う。

例えば日本は素晴らしい国なんだから、欧米に倣っていないでもっと独自の文化を大切にしよう、という主張をするのはいいんだけど、 わざわざ 「日本は素晴らしい」ってことをいうのに「日本は昔から○○だったのに、欧米はその時代はまだ××だった」 って比較することないんじゃないの?
なにかをよくいうために、相手を落とすのってそのまんまアメリカから入ってきた「比較広告」 みたいであまり品がいい行為だとは思えないんだけどなあ。

他に「変なの」と思ったのは、「日本人ほど自然に対する感受性が繊細な国民はいない」といいながら、 それについて言及している部分で出てくるのは全て外国人がそうした日本の自然の美しさに感嘆している姿なんだよね。
だとしたら日本人はただ単にそこに当たり前にあるものを享受しているだけで、 本当にその美しさを理解しようと努めているのは日本以外で生まれ育った外国人ではないのか?と思えてしまうのだけど。

全編けっこうこんな感じの判ったような判らないような話が続くので、読んでいるうちに「もしかしてこれって全編パロディなのかな?」 と思ってしまったくらい(笑)

この本は、著者の講演記録をもとに加筆したものらしい。
なので文章自体は判りやすいのだけれど、話しているなかで「ジョーク」 として発言しているのであろう内容も全てその他の内容と並列で扱われているので、 どこが本気でどこが冗談なのか判然としない部分も多くて判断に困る部分もあった。
例えば冒頭の

私は自分が正しいと確信していることについてのみ語るつもりですが、不幸にして私が確信していることは、 日本や世界の人々が確信していることとしばしば異なっております。もちろん私ひとりだけが正しくて、他のすべての人々が間違っている。 かように思っております。

のくだりなんか、冗談っぽく喋っていて会場も笑っているのと、大まじめに言っているのでは全然意味が違ってくるでしょう。
そのあたりが活字でしか内容を把握できない読者にもちゃんと判るように書いて欲しかったなあ。
「(笑)」なんて書くのは美意識が許さなかったのかもしれないけど、そうやって相手を慮ることも日本人の美徳ではないかと私は思う。
(いやでも、本当に真面目に言った可能性もあるのか…だとしたらかなり「引く」^^;)

この本のなかで読む部分があるとすれば、最後の「第七章 国家の品格」。
この部分はすごくシンプルで、判りやすくて、まっとうで、フラットな考え方が素直に書かれていて好感が持てた。
その他の部分は読むと却って混乱すると思うので、読む必要はないような気がします(笑)

まあ、こういうタイトルの本を読みたくなるほど、日本人が危機感を持っているってことではあるのかも。


それよりも、この著者の本なら『博士の愛した数式』の著者・小川洋子氏との対談を収録した『世にも美しい数学入門』 のほうが100万倍くらい好き。
数学どころか数字を見るだけで思考停止してしまう私でも「数学って面白いのかも」と思えたくらい、ホントに素敵な内容の本だった。
数式の美しさを楽しそうに語っていらっしゃる藤原氏の様子が印象的。
やはり「餅は餅屋」ってことなのではないかと。
オススメです。

世にも美しい数学入門
藤原 正彦 小川 洋子
4480687114
博士の愛した数式
小川 洋子
4101215235
博士の愛した数式
寺尾聰 小川洋子
小泉堯史
B000C5PNV4

 

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