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2006/06/10

米村圭伍/紀文大尽舞

紀文大尽舞
米村 圭伍
4101265364

内容(「BOOK」データベースより)
花のお江戸で女だてらに戯作者を志すお夢が追うのは、紀伊国屋文左衛門。蜜柑船で一夜にして財をなした豪商の一代記を書くためだ。 ところが紀文は逃げ回り、お夢は命を狙われる。華やかな立志伝に隠された秘密とは何か。ついに大奥に潜入したお夢が遭遇する、 将軍継承を巡る大陰謀とは。紀文と八代将軍吉宗の意外な接点。お夢の推理が冴えまくる痛快無比の大江戸歴史ミステリー。

江戸の豪商・紀伊国屋文左衛門の江戸での成功の裏には紀伊徳川家の姿があった、というところから始まる歴史ミステリー。
紀伊徳川家の密命を帯びて江戸で材木商を営み、その潤沢な資金を使って幕府御用達に成り上がり幕府の中枢に入り込んでいく紀文。
その真の目的は将軍継承を巡る大陰謀だった。
しかし時間が経つうちに紀文の思惑は派遣した紀伊徳川家を離れ、意外な方向に向かって行く。

その謎を追いかけるのは女でありながら戯作者志望の湯屋の娘・お夢。
そして彼女が掴んだ真相とは-。

かなり読み応えがあって面白かった。

最初は単純に一つの方向で描かれていてそのまま完結しそうだった物語が、 新たな登場人物と視点を与えられることによってどんどんその構図を変えていく。
一つ一つのパーツと現在そこに現れている現象は同じなのに、誰がなんのためにそれをやったのか、 そこに当てる光の方向を変えることで全く違ったものがそこに立ち現れて来る、しかもそれが何度も何度も繰り返されるという構成が面白かった。
世に知られた歴史的事実に創作を挟み込んで「もしかしたらホントにこんなことがあったかも?」 と思わせるような作品に仕立て上げるパワーが凄い。

登場人物は主人公のお夢が魅力的。
彼女の行動力と、そして彼女以外の登場人物の口から語られる紀文、紀伊徳川家、将軍家、幕府、 大奥などなどの噂話や推理と事実を組み立て直して紡ぎ出される鮮やかな謎解きが楽しかった。
でもそれ以外の登場人物は(それぞれ個性的ではあるのだけれど)あまり感情移入が出来る人物がいなかったのが残念。
最後まで彼女の味方であり続けたむささび五平の気持ちがもうちょっと判りやすく書いてあるとよかったかも…。

それから、終盤の何度も推理がひっくり返る部分はすごく面白かったんだけど、その分最後の最後オチの部分は今ひとつだったかなあ。
私なんか一瞬終わったことに気付かなかったくらいだもの(笑)
本当に「上手く落とす」というのは難しいことなんだなあ。
ましてやあれだけ、終盤盛り上げてしまうと、読者の期待も高まってしまうだろうしね。

それにしても、もっと「のほほん」とした作品かと思ったら、けっこうシリアスで非情な部分もある作品だったのが意外。
これは米村氏の作品にいつも使われている表紙イラスト(柴田ゆう氏。「しゃばけ」シリーズと同じ方ですね)の影響が大きいかも…。
あの絵を見るだけでインプットされてしまうイメージってあると思う。
表紙の持つ意味は大きい。

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