柴田よしき/猫は引っ越しで顔あらう 猫探偵正太郎の冒険4
猫は引越しで顔あらう 猫探偵正太郎の冒険4
柴田 よしき
内容(「BOOK」データベースより)
同居人のミステリー作家・ 桜川ひとみの転居にともない、東京で暮らし始めた正太郎。早速仲よくなった隣猫、 フルフル(アメショー系シルバータビーもどきの大きな去勢雄)とニンニン(茶虎と白の混じった小柄な避妊雌)のコンビと一緒に、 新しい街で、 新しい冒険に大忙し!?下町の情緒に馴染み、正太郎が活躍する四つの事件。好評シリーズ、いきなり文庫で登場。
推理作家・桜川ひとみの飼い猫・正太郎が探偵役になって事件を解決するシリーズ、第4弾。
面白かった♪このシリーズは安心して読めるのがいいなあ。
しかも、いつもは正太郎(ネコ)視点作品と、ヒト視点作品が同数くらい入っていて、
正太郎視点作品のほうが好きな私は物足りない思いをしていたんだけど、今作は4編のうち3編が正太郎視点だったのですごく楽しく読めた。
満足、満足♪
今回は正太郎の飼い主・ひとみが恋人の後を追って琵琶湖湖畔のマンションを処分して東京に引っ越してきて新生活が始まる話。
引っ越し先を探して不動産物件を見て歩くひとみと正太郎の行く先々に必ず放置されているカップ麺の謎を追う「正太郎と天ぷらそばの冒険」、
神楽坂の古いけれど住み心地がいい一軒家に引っ越してから隣に住む大家さんちの二匹の猫とのコンビネーションが楽しい
「正太郎と古本市の冒険」「正太郎と薄幸の美少女の冒険」、
そして突然恋人の死によって生きる気力を失った娘をなんとか立ち直らせようとする母親の姿を描く「祈鶴(いのりづる)」の4編を収録。
物語としては、ヒト視点の「祈鶴」が一番読み応えがあった。
死んでしまった恋人は可哀想だけど、でも私には娘の未来、幸せほうが大事だ、
というエゴイスティックなまでの母親の真っ直ぐな気持ちが胸に迫る。
また犯人に行き着くまでの構成や伏線もとても効果的だし、哀しみの中にも希望の光が見えるラストもよかった。
でも、やっぱり私はネコ視点の3編のほうが好きだな~(^^)
特に東京での新居のお隣(大家さんち)の飼い猫フルフルとニンニンの2匹を加えた「正太郎と古本市の冒険」「正太郎と薄幸の美少女の冒険」
がすごくよかった。
この3匹の会話がムチャクチャ楽しい♪
うちの周りにいるネコたちもこんな会話をコッソリしているのかしら…と想像するとついニヤニヤしてしまう。
中でも3番目の「正太郎と薄幸の美少女の冒険」は、その前の2作の「実はこの家には…出るらしい」
という伏線を受けての解決編なので謎も謎解きも力が入っていて面白かった。
ただ、いくら焦っていたからといって、あのタイミングで犯人がまた現場にやってくるというのはちょっと安易な感じ。
といってもみんなが揃ってるときに…というとやっぱりああなってしまうのかな。
でもそういった「あれ、ここちょっと…」な部分を凌駕して、3匹のネコ+1匹のイヌの会話が楽しくて可愛らしかったのでヨシ(笑)
こういうのってやっぱりちゃんと身近で動物をきちんと見ている人だからこそ書けるんだろうなあ。
続編が楽しみ。
ああ、私も(古くていいから)神楽坂の庭付き一軒家に住んでネコと一緒に暮らす生活がしてみたい…。
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