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2006/07/19

坂木司/動物園の鳥

動物園の鳥
坂木 司
4488012965

出版社/著者からの内容紹介
ひきこもりの友人を外の世界へ連れ出そうと努力を続ける坂木司。 動物園で起こる不思議な現象に、鳥井真一は筋道の立った回答を導き出すことができるか? 『青空の卵』『仔羊の巣』 に続く感動の第3弾!

三部作のシリーズ最終巻、完結編です。

面白かった♪
3冊の中で一番読みやすかったし、全体的に違和感なくスルスルと読めた。
うん、ここまで全部読んでようやくこの物語全体について「まあ、こういう話もアリかな」って思えた感じ。
決してすっごい面白かったというわけではないし、また意外な結末というわけでもなく、「多分こんな感じで終わるのかな」 と思っていたところにそのまま着地してきたという印象。
でも、その予定調和の中の殆ど誤差のない着地の正確さが却って印象的だった。

そのラストに向かうために準備された物語には、真一を人間不信に追い込んだ中学の同級生が登場する。
彼と真正面から対峙し、それを乗り越えることで先に進もうとする真一と司。
2人の関係を変化させるためには、どうしても現在の自分たちがそうなってしまった「原点」に向かい合う必要があった、 ということなんだろうな。
この同級生のキャラクター設定はちょっとありきたりなイメージを感じてしまったけど、彼を追い込む手口(笑) の緻密さとか周りのメンバーの周到な配置でなかなか盛り上がるクライマックスになっていた。
確かに彼はヤな奴だったけど、あんなにまで徹底的にやっつけなくても…^^;

さりげなく登場する「滝本の妹」が、実は司が真一との関係を見直そうと決意するもう一つの切っ掛けになっているあたりも何気なく巧妙。
それから、正論ばっかりで自分の意見をいわなくて真一に「嫌いだ」といわれる少女の存在も効果的。

やはりこうやって全体を読んでみるとただのやさしくて、やわらかくて、切ないだけの物語ではなく、 かなり巧妙でけっこう底意地の悪い物語だったのかも。
(いや「物語」ではなく、「著者」の問題か?(笑))
特に最後の6ページ。
こんなところにまだ「シークレット・トラック」があったなんて!
思わず読まないまま返却しちゃうところだったよ^^;
これから読む人は、最後までちゃんとページをめくりましょう!

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コメント

わぉ!3連荘!メチャメチャ順調じゃないですか!

私はここのところ、久しぶりに観た「銀英伝」で忙しくて、
(なんせ、100話以上あるんです。)
あんまり読めてません。

そのうち復帰すると思いますが。。。むむむ。

投稿: しろっこ | 2006/07/20 22:41

■しろっこさん
こんにちは。コメントありがとうございます。
返事が遅くなってゴメンナサイ^^;

その後も3作品(計5冊)一気読みでした(笑)
私自身も久々の好調振りです。

それに加えて「感想以外の内容のエントリーが思いつけない」という事情もあったり…^^;
全く書けないわけではないので、この辺でもう少し他のエントリーへの感覚が戻ってきて欲しいものです。

投稿: tako | 2006/07/29 07:58

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