« 朝松健/東山殿御庭 | トップページ | 福島中央テレビ「ちょっと便利帳」はちょっとどころかすごく便利 »

2006/09/10

広瀬仁紀/新選組風雲録 洛中編

新選組風雲録 洛中篇
広瀬 仁紀
4167679078

内容(「BOOK」データベースより)
幕末動乱の京。盗っ人のましらの忠助は、ドジを踏んで江戸から京へ流れてきた。清水寺で新選組副長・土方歳三と関わり、その手足となって働くことになった。一方、霞小僧の異名を持つ、こちらも盗賊のお多加は、長州激派の吉田稔麿を追いかけて京へ上ってきた。池田屋事件から蛤御門の変と激動する京に交錯する二人の影。

5巻ものの1冊目。
偶然図書館で見つけて、そんなに期待もせずに借りてみたらこれが当たり!
すごく面白かった♪
(私が借りたのは、'87年に大陸書房から発行されたソフトカバー本で、上記の書影(文春文庫版)とは別物。
文春文庫版は、ソフトカバー版が絶版になったあと「復刊ドットコム」での支持を受けて復刊したものらしい。)

ひょんなことから池田屋襲撃前夜の土方と出会いその手足となって働くことになる忠助と、池田屋で思い人の吉田稔麿を新選組に殺されその復讐のため長州の桂小五郎をかくまうお多加の使い方が巧い。
特に忠助は土方の密偵として動く中でいろいろ印象的なシーンを残してくれている。
なかでも、土方の密偵として長州藩の動きを探りに出た忠助が、既に死の覚悟を決めた長州藩の来島又兵衛と語り合うシーンがよかった。
(もちろん、来島は忠助が密偵だということには気付いていない、という設定)
そしてその報告を受けて『壮士(おとこ)とはそうありたいものだ』と呟いてしばし嗚咽しちゃう土方がいいっ!(笑)

そう、この作品に出てくる土方はすごく「いい」キャラなのだ。
頭が切れて強面で一方的に見えるけど、人の感情を読むのがうまくて心配りが繊細で…。
私が一番好きなタイプの土方像♪
この土方が読めるだけでも、この作品は私にとってはマルである、と言ってもいいくらい(笑)
『燃えよ剣』の土方ほどは強烈な印象はないけど、これはあの作品とは違って彼が主役の物語ではないからそのくらいのほうが全体の中ではバランスが取れていていいんじゃないかと思う。
(でもそれにしては登場シーンが多いけどね)

それから、その土方に絡んでいく沖田もいい。
子どもっぽくて無邪気かと思うと、人の気持ちの本質を本能的に掴んでスルッと懐に斬り込んでいく鋭さもあって…一人で周りの恨みを買ってでも新選組を強くすることを考えている土方のことを誰よりも理解しているけど、それを顔や態度に出さずに邪魔ばっかりしている(ように見せている)沖田、というのも私が一番好きな設定。

まあ、なんというかちょっと少女マンガ的ではあるけどね^^;

でも、この作品はそのキャラクター設定だけに流されずに史実を交えながら、幕末の動乱の中で生きた人々のそれぞれの生き方を丁寧にとても暖かい眼差しで描いてあるのが一番の魅力だと思う。

このあと「激闘編」「落日編」「戊辰編」「函館編」と続くようなので、読むのが楽しみ♪

|

« 朝松健/東山殿御庭 | トップページ | 福島中央テレビ「ちょっと便利帳」はちょっとどころかすごく便利 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

読了本」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29699/11844764

この記事へのトラックバック一覧です: 広瀬仁紀/新選組風雲録 洛中編:

« 朝松健/東山殿御庭 | トップページ | 福島中央テレビ「ちょっと便利帳」はちょっとどころかすごく便利 »