鯨統一郎/月に吠えろ!-萩原朔太郎の事件簿
月に吠えろ! 萩原朔太郎の名推理
鯨 統一郎
内容(「BOOK」データベースより)
崖から転落死したはずの兄から連続して届く、謎の手紙。明子はマンドリン教室の仲間である萩原朔太郎に相談を持ちかけるが…。「真実は、論理を超えたインスピレーションの中に隠れているもの」と豪語する朔太郎が挑む、七つの不可能犯罪。
詩人・萩原朔太郎を探偵役にした推理短篇集。
タイトルはもちろん萩原朔太郎の詩集『月に吠える』のもじりですね。
(といっても私は読んだことはないけど…^^;)
朔太郎と、語り手である室生犀星、山村暮鳥らが交わす会話や、起きる事件そしてその謎解き、結末も「昭和初期」という時代を感じさせる懐かしい文体、描写なのがいい。
そしてその中にもいつもの鯨氏お得意の遊び心も満載で読みやすさも忘れてはいない。
キャラクターとしてはやはり朔太郎が出色。
プライドが高くて傍若無人で自分勝手で思い込みが激しいけど、その反面飄々としていたりドジな部分もあって憎めない…という絶妙な設定が生きていた。
読んでいると時々「イラッ」とする部分もあるんだけど、それを語り手の室生に語らせることで読者には「まあまあ、そこまで言わなくても」という気持ちにさせてしまうあたりも巧い。
最初の物語で「朔太郎はマンドリンを習っていた」というエピソードが出てくる。
そこから、謎が解けて推理を披露する際にはマンドリンを弾きながら登場する(!)というパターンになっていたんだけど、それが後半になるとだんだん崩れて来てしまったのはちょっと残念。
何があってもマンドリンをかき鳴らしながら出てきて欲しかった…(笑)
「死者からの手紙」「閉じた空」「消えた夢二の絵」「目の前で消えた恋人」「ひとつの石」「怪盗対名探偵」「謎の英国人」の7編を収録。
ところで、私はこの他にも朔太郎が探偵役で出てくる作品を読んだことがある(歌野晶午/死体を買う男)んだけど「朔太郎」と「探偵」って何か関係があるの?
…と思って調べてみたら「月に吠える」のなかに『殺人事件』という作品があるのを発見。(「探偵」も出てくる)
これの影響なのかな?
月に吠える 萩原 朔太郎 | 死体を買う男 歌野 晶午 |
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