高橋克彦/春朗合わせ鏡
春朗合わせ鏡
高橋 克彦
内容(「MARC」データベースより)
勝川派の青年絵師・春朗(後の北斎)が、絵師ならではの鋭さで巷の事件の謎をとく! 江戸情緒と浮世絵の魅力溢れる傑作時代ミステリー。2002年刊「だましゑ歌麿」、2003年刊「おこう紅絵暦」の姉妹篇。
面白かった!
このシリーズ大好きだな~♪
登場人物が魅力的で、文章のテンポがよくて、話の内容も面白いという最強のパターン。
今回の作品は青年絵師・春朗(後の葛飾北斎)が主役。
絵に賭ける情熱、努力、才能は誰にも負けないけれど、まだまだ世間に認められずに貧乏暮らし。
家族を葛飾村に置いて江戸で一人絵の修行に励む春朗が巻き込まれる事件を描いた短篇集。
「女地獄」「父子道」「がたろ」「夏芝居」「いのち毛」「虫の目」「姿かがみ」7編を収録。
今回は春朗の相方(?)として、昔芝居小屋でトンボを切っていた美青年・蘭陽が登場。
派手でわがままで傍若無人だけど義理人情に篤い蘭陽が、実力はあるけど慎重派の春朗にポンポン文句を言いながら背中を押して話を進めていく展開が楽しかった。
一つ一つは独立した物語でありながら、全体を通して春朗がその父親と叔父に対する複雑な心境と葛藤を描いた長編の小説としても読むことが出来る構成。
その春朗が様々な事件を通して今まで見えなかった家族の姿を垣間見、少しずつ心を通わせた結果、最後にある決心をする。
丁寧に描かれたその決意までの過程が印象的だった。
ここでもその明るさ、人なつっこさで誤解し合った春朗とその父親の間を取り持つことになる蘭陽の描き方が印象的だった。
いつもの北町与力仙波一之進やその家族ももちろん健在。
特に役目に囚われて不正を見逃してしまいがちな息子を頭から叱咤し尻を叩いて真相解明に向かわせる左門老人の元気さ、真っ直ぐさがいい。
仙波からしたら「また始まったよ…」という感じではあるだろうけど(笑)
そんなやり取りも含めて楽しい作品だった。
このシリーズはこのままずっと続けて欲しいなあ。
だましゑ歌麿 高橋 克彦 | おこう紅絵暦 高橋 克彦 |
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