« セブンイレブンのレシートでガソリン値引き中 | トップページ | 【訃報】翻訳家・浅羽莢子さん死去 »

2006/09/25

皆川博子/写楽

写楽
皆川 博子
404872827X

内容(「BOOK」データベースより)
江戸の町に忽然と現れた謎の浮世絵師・写楽。天才絵師・歌磨の最大のライバルといわれ、名作を次々世に送り出すと、たった十ヵ月で消えてしまった“写楽”とは、いったい何者だったのか。ひたむきに夢を追う若き芸術家たちの生き様を描き切った、著者渾身の書下ろし。

『写楽』というタイトルの物語だけど、実際に「写楽」としてその人物が登場するのは、物語の中の数ページでしかない。
これは写楽について書いてあるというよりも、幕府の奢侈禁止令によってやりたいことを制限されながらも表現することに挑戦し続けた当時の文化人たちの横顔を描きながら、その中に後に写楽と呼ばれた人物を配した、という印象の作品。

こうした物語を読むにつけ、写楽を始め、北斎、馬琴、京伝、南北など日本の文化芸術界のビッグネームがほぼ同時期に次々と輩出されている時代の凄さを感じる。
そしてそれを陰で支えていた刷元の蔦屋重三郎の存在。
身代半減の上に手鎖の刑まで受けながらも自分の信念を曲げずに身銭を切って彼らを後見し続けた眼力と、美しいもの面白いものへの情熱が日本の文化を守って来たのだと思う。
この両者どちらの存在が欠けても日本の文化は花開くことはなかっただろう。
そう考えると「奢侈禁止令」さえも、もしかしたらそれを昇華させるために与えられた試練だったのでは?とも思えてくる。

ぽつんぽつんと点景のように配置されたエピソードで綴られる形式の物語で読んでいる間はなかなか全体像が見えてこなくてちょっとイライラするけど、読み終わってみるとその手法こそがその時代の雰囲気をよく表現しているように思えるところが不思議。

|

« セブンイレブンのレシートでガソリン値引き中 | トップページ | 【訃報】翻訳家・浅羽莢子さん死去 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

読了本」カテゴリの記事

コメント

はじめまして
batacleTBでここまで来てしまいました。
すごい時代ですよね、ゴッホ他ヨーロッパ近代絵画まで影響を与えた浮世絵
それを支えた蔦屋重三郎の功績は大きい!

投稿: おしゃべりインコ | 2006/10/02 15:57

■おしゃべりインコさん
こんにちは。はじめまして。

>すごい時代ですよね

ですよね~。
更にスゴイところは、この時代の浮世絵って「美術品」ではなく「使い捨て」のものだったってところですね。
(今で言うと「雑誌」感覚?)
日本人の美意識ってなんて贅沢。
今の私たちもその血を受け継いでいるはずなんですけどね^^;

>batacleTBでここまで来てしまいました。

悪評が飛び交うBetacleですが、こういう効用もあるんですね(笑)
ご訪問、ありがとうございました。

投稿: tako | 2006/10/12 18:56

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29699/12038217

この記事へのトラックバック一覧です: 皆川博子/写楽:

« セブンイレブンのレシートでガソリン値引き中 | トップページ | 【訃報】翻訳家・浅羽莢子さん死去 »