宮部みゆき/日暮らし(上・下)
日暮らし 上 宮部 みゆき ![]() | 日暮らし 下 宮部 みゆき ![]() |
出版社 / 著者からの内容紹介
待望の最新時代小説、たっぷり上下巻で登場。多くの者の運命を大きく変えた女・葵が殺された。殺したのはー本当にあいつなのか?
ぼんくら同心・平四郎、超美形少年・弓之助が、ついに湊屋の真実に迫る!
ああ、面白かった~♪
『ぼんくら』の続編だというのは知っていたけど、てっきり主要な登場人物(平四郎、弓之助、おでこなど)が同じだけで、全く別の事件を解く物語なのかと思いこんでいた。
ところが読んでみたら、本当の意味で続編『ぼんくら』に出てきた人々の「その後の物語」だったので、かなり驚いた。
同じ登場人物で2作品、それもどちらも長編を書くってかなりの力業だよね。
それだけの枚数を飽きさせずに読ませる、舞台設定、人間関係、テーマ、謎、伏線、物語の展開…などなど。
でも、宮部みゆきはそういうことをやってのけてしまうんだなあ。
最初から最後までずうっと面白くて、先が気になって、ドキドキして、ちょっとウルウルしながら読んだ。
と、何だかいかにもスムーズに作品を読みましたよ、な感想を書いているけれど、いつもの通り私は『ぼんくら』の内容をかなり忘れていたことを白状します^^;
「すごく面白かった」という読後感だけは強烈に残っていたし、弓之助やおでこのことはちゃんと憶えていたので、ストーリーも憶えているはずと思っていたんだけど…やはり、いきなり記憶力がよくなるということはないらしい(笑)
でも、こんな<ぼんくら>な(笑)私でもちゃんと理解できるように、話の端々にさりげな~く前作のいきさつやら人間関係を混ぜ込んでくれている宮部センセイの心遣いが非常にありがたかった。
おかげで道に迷うことなくちゃんと最後までついていけました。
ありがとうございます♪
ただ、この描写で前作のアウトラインがある程度予想できてしまうので、『ぼんくら』より前にこの作品を読んでしまった人はちょっと可哀想かも…。
(なのでまだどちらも未読の方はまず『ぼんくら』から読むことを【強く】オススメします!)
前半の盛り上がり部分は佐吉がすごく重要な役回りで終わるのに、後半はちょっと出てきただけでその後は姿を消してしまうのがちょっと残念だった。
(まあ、展開としては仕方ないのかもしれないけど)
それから、真犯人の設定はやっぱりちょっと唐突な感じがするかなぁ。
確かにそこに持っていくまでには非常に丁寧に手間をかけている感じは理解できるんだけど、だとしたらもっとその人の人となりを早い段階で表に出しておいた方がよかったような気がする。
でも、そんなのは本当に些細なことで、作品全体を通しての感想は「面白かった」それに尽きる。
物語を貫く流れ、リズム、多彩な登場人物が見せる様々な感情とそれを丁寧に掬い取る描写の確かさ、眼差しの温かさ。
全てがまるで目の前に見えるように描かれている作品だった。
あちこちに張り巡らされた伏線と、いくつもの小さな物語として広げられた物語が終わりが近づくにつれてパタンパタンと綺麗に、あるべき場所、あるべき姿に畳まれて行くのが気持ちよかった。
エンディングの「鬼は外、福は内」で佐吉の家で平四郎と佐吉夫婦が話してるシーンでは画面の左側にエンドロールが流れているのが見えるようだったな(笑)
ただ他の部分はけっこう想像し易いんだけど、弓之助の顔だけは思い浮かべるのが難しい…。
「凄いくらい美形の」13歳の少年ってのはどんな感じ?
宮部さんはどんな少年を想像しながら書いたのかなぁ?
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