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2006/12/03

有川浩/図書館戦争

図書館戦争
有川 浩
4840233616

出版社 / 著者からの内容紹介
───公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代。
超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館!狩られる本を、明日を守れ!
敵は合法国家機関。
相手にとって不足なし。
正義の味方、図書館を駆ける!

笠原郁、熱血バカ。
堂上篤、怒れるチビ。
小牧幹久、笑う正論。
手塚光、頑な少年。
柴崎麻子、情報屋。
玄田竜介、喧嘩屋中年。

この六名が戦う『図書館戦争』、近日開戦!

すごい紹介文(笑)
それに合わせてタイトルも直接的なので、もっと派手に、問答無用に戦ってるという内容を期待していたんだけどな。
例えば戸梶圭太の作品みたいな感じ。(私の中では戸梶氏はそういうイメージらしい(笑))

なので(思ったよりも)全体的に物語のスピードが遅いのと、けっこう理論的な背景(しかも重い)が描かれていたり、直接戦闘シーンが割と少なかった、そしてけっこうシリアスな物語だったのが意外だったし、ちょっとつまんなかった。
少なくとも「出版社/著者からの内容紹介」に書いてある文章のトーンとは随分違ってた。
(あのテンションの小説が読みたいっ(笑))

何より私を一番苦しませてくれたのは、主人公の郁。
長身で身体能力は男子に負けない女子戦闘員、以前自分の危機を救ってくれた正義の味方の「王子様」を追いかけて図書館隊を目指す…はいいんだけど、どう考えたって彼女、ニブ過ぎでしょ?
郁の「王子様」が誰かなんて、彼女がその話を初めてした段階で誰にでも判るってば。
更には、自分の気に入らない相手に自分で言いがかりつけておいて、相手に反論されてその反論に勝手に傷ついて…って、ガキですか。
それにいくら気が合わないからって仮にも上官に対してその口の利き方はないだろう。
内容はともかく、言葉遣いはちゃんと敬語を使って欲しい。
(堂上は上司としてちゃんと指導すべき!)
正直、私はこういうタイプのヒトは苦手です。
むしろ手塚のほうが(郁に対する態度はともかく、心情的には)理解できる。

人間一生生きたって一人で経験出来ることは限りがあるし、感情のパターンだってそんなに多く持ってるわけじゃない。
でも、本を読むことってそういう自分に出来ない経験とか、感情とかを疑似体験することだと思うんだよね。
人一倍経験値低い私にしても、読書量でそこをカバー出来てしまっている部分ってけっこうあるもの。
なのに、「本好き」の郁が他人の気持ちにあそこまで無頓着だという設定が理解できない。
ちょっとでも本を読んでたら、物語の裏側とか行間とか読むようにならないか?
情報にも(知らないうちに)詳しくなっていたりしないか?

そんな私なので、好きなキャラは柴崎と小牧でした。
こういう、ちょっと引いた場所からフラットに広い視点で物事を観察しそれを冷静に判断出来る、しかもそれは他者に対してだけでなく自分も同様に扱える、それでいて人当たりがいい、というのはちょっと理想。
まあ、そんなタイプだからこそ郁とか(郁と同じタイプの)堂上と友人やってられるんでしょうね。
ということは、「郁みたいのは苦手」と言ってる時点で私はまだまだだってことなのね~(T_T)

あと図書館隊が訓練とか、実戦とか、日常(非戦闘)勤務とかをしてるときの服装(制服)について書いてないのが残念だった。
別に制服フェチじゃないけど(笑)、どんな格好でそこにいるのか判ると映像がイメージし易いから。
一般図書館員との違いについてとか、夏と冬の違いとか、階級による違いとか、ね。

一番最後の方の堂上が過去の自分を振り返る場面はよかった。
みんないろんな代償を払ってオトナになってるのね~(笑)

既に続編(『図書館内乱』)が出ているらしいけど、読むかどうかはまだ未定。
(どうせ図書館で予約しても3ヶ月くらいは待たされそうだし)

図書館内乱
有川 浩
4840235627

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