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2007/04/15

戸板康二/團十郎切腹事件

團十郎切腹事件
戸板 康二
4488458017

内容(東京創元社Webサイト内より引用)
【第42回直木賞受賞「團十郎切腹事件」収録】
江戸川乱歩に見いだされた「車引殺人事件」にはじまる、老歌舞伎俳優・中村雅楽の推理譚。美しい立女形の行方を突きとめる「立女形失踪事件」、八代目市川團十郎自刃の謎を読み解く、第42回直木賞受賞作「團十郎切腹事件」など全 18編。旧〈宝石〉誌掲載時の各編解説をはじめ豊富な資料も併録。ミステリ史に燦然と輝く名推理の数々を完全収録した、《中村雅楽探偵全集》堂々開幕! 資料再録等=江戸川乱歩・戸板康二・小泉喜美子/解説=新保博久/編者解説=日下三蔵

面白かった。
随分前に書かれた作品(1作目「車引殺人事件」の初出が昭和33年だから…約50年前!)にも関わらず、全然古臭さを感じさせずするすると気持ちよく読むことが出来た。

その要素の一つは「歌舞伎界」という、一般人からみると少々異質な世界を舞台に設定したことであると思う。
もともと当時でさえ「伝統」を表現する場所だったわけだから、今でもそれが「時代遅れ」にはならない、ということかと。
しかも、その異質な世界(作品、風習など)を一般人にも理解しやすいようにきちんと丁寧に、でも冗長になることなく解説してあり、それが作品の個性として活かされていた。
さらには、そのトリックや設定がその時代を表す文化や発明品などよりも、登場人物の錯覚や思い込み、または今でも変わりなく存在する昔ながらの道具を使ったシンプルなものであった分、今でも通用する内容が多かったように思う。

そして何よりも探偵役、老歌舞伎俳優・中村雅楽というキャラクターが素晴らしい。
伝統を守る歌舞伎役者、しかも重鎮といわれるほどの芸歴を持つ年齢でありながら、その好奇心、行動力、そして頭の切れはまだまだ健在という雅楽翁。
ワトソン役をつとめる新聞社の文化部記者・竹野(多分30代後半~40代くらい)よりもずっとさばけたリアリストだったり、自分の推理がピタリピタリと事件の謎にはまっていくときの嬉しそうな様子など、意外性のある設定も魅力的だった。

また、雅楽翁の活躍で事件が解決したあともすぐに日常に戻るのではなく、その事件の成り行きや関係した様々な人々に気持ちを残しながらエンディングを迎える終わり方も私好みだった。

この1冊だけでも18編の作品が楽しめるんだけど(その分、文庫としては少々高めの1,200円。でもその価値はある!)、このあと4冊刊行予定とのこと。
洒脱な雅楽翁に再開できるのが楽しみ♪

巻末には「宝石」誌上で発表当時の江戸川乱歩による作品解説他、たくさんの資料を掲載。
この解説群を読むのも楽しかった。

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