有栖川有栖/暗い宿
内容(「BOOK」データベースより)
犯人当てゲーム“トロピカル・ミステリー・ナイト”に参加するため、南の島のリゾートホテルを訪れた臨床犯罪学者・火村英生と推理作家・有栖川有栖。ハイビスカスに彩られたロビー。人魚姫のようにさざめく女たち。抜けるように青い空と青い海。バカンス気分で、のんびり過ごしていた二人だったが、訳ありげな夫婦に出会って…(「ホテル・ラフレシア」)。廃業した民宿、冬の温泉旅館、都心の瀟洒な名門ホテル―。様々な“宿”で起こる難事件に火村&有栖川コンビが挑む。傑作ミステリ作品集。
ホテルや旅館、民宿など「宿」を舞台にした短篇ミステリーの連作集。
表題作の他、「ホテル・ラフレシア」「異形の宿」「201号室の災厄」の4編を収録。
どれも短いながらも物語の構成や謎の設定がハッキリしていて謎解きも明解、ピリッとした作品集で楽しかった。
著者と同じ名前の探偵というのはよくいるけど、このシリーズの場合謎を解くのは(登場人物の)有栖川有栖ではなくその友人の火村助教授である、というのがバランスがよくて私は気に入っている。
この作品集ではいつも冷静な火村助教授と筋トレが趣味の外人ミュージシャンとの乱闘シーンなど(「201号室の災厄」)意外な面が見えて面白かった。
謎とは直接関係ないんだけど一番印象的だったのは「ホテル・ラフレシア」の中でホテルのバーのあまりの居心地のよさに有栖が
本当に、ここに居着いてしまいたいくらいだ。このバーテンに弟子いりしようか。もしかしたら、ここで働いている人間はみんな、かつてはお客だったのではないか?おお、それはこわい話だ。
と思うシーン。
お客に「ここで働きたい」と思わせられるサービスというのは、もう究極だろうね。
ホテルの素晴らしさを描くのにこういう表現を持ってこられるあたりがセンスいいなあ、と思う。
私も一生に一度でいいからそんなホテルに泊まってみたいなあ。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
最近のコメント