秋山香乃/諜報新撰組 風の宿り-源さんの事件簿
諜報新撰組風の宿り―源さんの事件簿
秋山 香乃
内容(河出書房新社Webサイトより引用)
井上源三郎は、長州脱藩の間者・佐伯又三郎と親しくなり、長州、水戸、会津の政争にまきこまれていく。大和行幸、相撲興行の思惑、芹沢一派殲滅の意味を、八・一八政変と続く時代の中に探る。
以前読んだ『新撰組捕物帖』の続編らしい。
前作はすごく面白くて気に入ってたけど最終話で源さんが死んでしまうので「もう続きはないんだろうな」と思っていたら、続編が出ていたと知ってちょっとビックリ。
確かに時間を遡ればいくらでも書けてしまうんだろうけど…そこまでして続編として書く内容だったのかどうか疑問。
相変わらず文章は読みやすくてよかったんだけど、最後までちぐはぐな印象が拭えないまま読み終わってしまった。
前作と今回の作品はかなり毛色が違う。
前作は連作短篇集だったのに今回は長編だし、内容も前作は新撰組(源さん)の周りで起こるちょっとした事件を人情とお節介と熱血で解決するというほのぼの系だったのに対して今回は長州との鍔迫り合いや組織内の騙し合いの果ての芹沢の粛正、そして「新撰組」誕生へ、という全体的に歴史的事実を下敷きにした重いテーマの話だった。
全くイメージが違う内容なのに、源さんは前作同様「お節介と熱血」のまま物語の中に存在するから彼だけが一人浮いている感じですごく違和感があった。(主役なのに!)
全く別の素材を無理矢理一緒にしようと頑張った挙げ句、結局お互いの素材を殺し合ってしまったという感じにしか思えないんだけど。
佐伯又三郎と源さんの関係は好きだった。
ただ、やはり歴史的事実と並列で取り扱うにはちょっとパワー不足。
最後のほう引っ張りすぎてだれて来てしまったように思う。
あまり長州との関係に深入りしないで、源さんと佐伯の交流を中心に短篇として書いた方がよかったのでは。
前作のイメージがすごくよかったのでとても残念。
他にも新撰組作品を書いているんだから、これも続編としないで全く別の物語として扱ったほうがスッキリしたと思う。
新撰組捕物帖----源さんの事件簿
秋山 香乃
感想文はこちら↓
■新撰組捕物帖-源さんの事件簿
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