秋山香乃/忘れ形見-漢方医・有安
内容(「MARC」データベースより)
何者かによって3人の医師が立て続けに殺害される。後ろ暗い過去を抱える漢方医・有安の身の周りにも不穏な空気が漂い始めるが…。患者も治すが、悪をも糾す。市井に生きる人々の優しさと切なさが溢れる連作短編集。
1つ前の『諜報新撰組』と同じ秋山香乃さんの作品だけど、これは新撰組とは全く関係ない作品。
武士の身分を捨て腕のいい漢方医として市井で生きる有安。
有安の一人娘として愛情を受けて育てられているが、実は出生に秘密を抱えるお雪。
某藩の主の小姓として将来を嘱望されていながら納得できない掟により藩を追われ、やがて有安の助手となる青年・司郎。
父に続き、母も病で亡くし司郎に育てられることになる幼女・お美知。
生さぬ仲の2組の父子とその周囲の人々との関係や有安がはからずも巻き込まれていく事件などが、ゆったりと丁寧な筆致で描かれていて面白かった。
連作短篇集の体裁を取りながらも、それぞれの物語がリンクしてお互いに影響を与え合い一つの大きな物語になっている構成も人物像に深みを与え、関係に広がりを持たせる効果がありとてもよかった。
この作品のラストは司郎が再び人生の岐路に立つ場面で終わっている。
彼がそこから何を選択するのかは描かれていないし、有安の秘密やお雪との関係も曖昧なまま、それ以外にも決着していない事件や正体不明の人物の存在などまだまだ謎もたくさんあるのでもちろんこの先続刊があるはず。
楽しみに待ちたい。
<作家の公式サイト>
■秋山香乃の館
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