二階堂黎人/ドアの向こう側
内容(「BOOK」データベースより)
ライセンスを持たない孤独な私立探偵―渋柿信介。次々と舞い込む難事件を、大胆な行動力と子供らしからぬ推理力で粛々と解決していく。そこはかとなくハードボイルド感ただよう人気シリーズの第三弾。
探偵役が幼稚園児という設定のミステリー。
パパ(ケン一)がイケメン刑事、ママ(ルル子)が元アイドルでスピード狂、そして息子(信介)は幼稚園児の私立探偵という設定がバカバカしくていい(笑)
ケン一やルル子の前では普通の幼稚園児なのに、セリフや独白がハードボイルド調なのも笑えた。
例えばこんな感じ。
幼稚園から戻り、プラダの白いワンピースを着たルル子と一緒に、グリコの〈プッチンプリン〉を食べている時のことだった。
「-シンちゃん。シンちゃんは、最近、どんなことをして遊んでいるの?」
と、彼女が質問した。
『仕事の依頼の方はさっぱりだ。街の様子はますます惨めになり、人々の心はどんどんすさみ、財布の中身は空っぽになるばかりだ』
私は指先についたカラメルを舐めながら、そう答えた。
こんな喋り方をする幼稚園児がいたらヤダな~^^;
でも、このシンちゃんのセリフに対してルル子は
「そうよねえ、カラスが荒らすから、ゴミ箱はいつも汚くて。そこにまた、心ない人が勝手にゴミを放り出していくでしょう。市役所によく注意しなくちゃ」
と普通に返事をしているということは、二重鍵括弧のついたハードボイルド調のセリフはシンちゃんの脳内だけで、実際に喋ってる(周囲に聞こえている)のは普通の幼稚園児のセリフだってことなんだろうね。
なので、シンちゃんがハードボイルドセリフを喋るたびに今度は私がそれを幼稚園児セリフに脳内変換しながら読んだりして、それも一興だった(笑)
ただ、ときどきこれをどうやったらいたいけな幼稚園児のボキャブラリーに変換できるのだろう?と悩むセリフもあったけど…。
事件はシンちゃんが同じ幼稚園のお客から依頼される事件ではなく、ケン一が担当している殺人事件や、行く先々で巻き込まれる強盗事件などがメイン。
シンちゃんが人知れず調査して掴んだ証拠を、推理好きのルル子が協力して犯罪を白日の下に晒し、ケン一が逮捕する、という流れ。
イマイチ存在感がないケン一に対して、「こんな奥さんで大丈夫なの?」と心配するほどのルル子の暴走っぷりが楽しかった。
でも、警察官でありながらそんなルル子にラブラブなケン一もかなり大物なのかも…(笑)
「B型の女」「長く冷たい夜」「かたい頬」「ドアの向こう側」の4編を収録。
既に三冊目らしいので、前の2冊も読んでみようっと。
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コメント
名探偵コナンばりの活躍は面白そうですね。
脳内変換されている言葉を話すヒロインがでてくるとさらに楽しそう。
投稿: みつ | 2007/09/03 13:19
■みつさん
こんにちは。
>名探偵コナンばり
こちらは本物の(?)幼稚園児なので、さすがにコナンくんのようにシリアスに理路整然と…とは行きませんけどね(笑)
>脳内変換されている言葉を話すヒロイン
あ、それ面白そうですね~♪
今後に期待したいです(^^)
コメントありがとうございました。
投稿: tako | 2007/09/07 00:04