どうトラブルを避けるの? ネット体験・コミュニケーション術 (子どもといっしょに 安心インターネット)
内容(「MARC」データベースより)
メール・出会い系サイトや掲示板・チャットでのトラブルって? キレさせない、相手を傷つけないためには? 我が家のルールを作る? 母親の視点に立ち、インターネットの心配なトラブルの回避策を事例を中心にやさしく解説。
小中学生くらいの子どもを持つ親御さん(特にお母さん)向けに、「IT教育コンサルタント」の肩書きを持つ尾花紀子氏が同じ(母)親の立場からインターネットを安全に利用するための心がけや対応方法を書いた本。
本書の他に『なにが危険なの?ホームページ・メール・個人情報』、『なにができるの?ホームページ・情報活用術』の2冊も合わせ、3冊のシリーズもの。
メインタイトルだけ見て「ネットトラブルについての事例集」だと思って図書館で借りて来たところ、読み始めてからサブタイトルに『子どもといっしょに安心インターネット』と付いているのに気付いた。
うちには子どもはいないので「関係ないかな」と思ったけど、せっかく借りてきたので一応読んでみたらこれがけっこう面白かった。
直接的に子ども向けではないけれど、子どもよりもインターネットを知らない(かもしれない)親向けの内容なので非常に平易な、しかも丁寧な文章でとても読みやすく書かれているのがいい。
TVや新聞で大きく報道されたインターネットを利用した事件例をたくさん取り上げて、それを参考にしながらどう対応すればいいかが非常に具体的に書かれているので興味を惹かれるし、また非常に理解しやすかった。
私は幸い今までインターネット上でトラブルらしいトラブルに巻き込まれたことはない。
かなり大人になって判断力もそれなりに出来てから利用し始めたこと、それなりに知識やマナー、情報を集めながら利用していること、そして何より好奇心はあるけどそれ以上に小心者+面倒臭がりなので(笑)あまり危ないところに近づかないことがトラブルを回避できている理由だと思う。
それでも自分では全然意識しないうちに危険ゾーンの一歩手前まで近づいていることも時々あるし、それ以外にもネットの事件を見ていると「そんなことまで気を付けなくちゃいけないの?」と驚くことがたくさんある。
インターネットの世界ではホントにあらゆるところにトラップがたくさん仕掛けてあるので、それを如何に素早く察知して避けて通るかが難しい。
しかも、あまりにもそんなことばかり気にしていると、今度は「何を信じていいのか」が判らなくなるという状況になってくるし…インターネットとの付き合いはオトナでもかなりのスキルとエネルギーを必要とするものだと思う。
いわんや子どもをや。
もちろん大人以上に知識が豊富で、勘が鋭くて、きちんと状況判断出来る子どももいるとは思う。
でも、多分大部分の子どもはそうじゃない。
だから自分を守れる年齢になるまでは「親」が守ってあげなければならないと主張し、その具体的な方法が詳しく丁寧に書いてあるこうした本が必要になる状況は理解できるし、正しい姿なのだと思う。
それにしても今の子どもって世界が広くなっていろんなことを体験出来るようになった分、危険も増えて親が心配しなくちゃいけないことも昔とは比べ物にならないくらい多いんだろうなあ。
私が子どものころ親が心配していたのは「転んで怪我しないか」くらいだったんじゃないかな(笑)
住んでいる家も町も狭くてどこにいても誰かの目が届く範囲で、全然知らない人と接する機会なんて滅多になかったもの。
それに対して今は、「そこに居ながらにしてあらゆる人とコンタクト出来てしまう」状況なわけでしょう。
それを全部把握するとなったらかなり大変なことだと思う。
インターネットは確かに危険性を孕んでいるけど、だからといってそのためにその存在を封印することは出来ないところまで私たちの生活に浸透してきてしまっている。
だとしたら、より便利に安全に利用するために利用者がその道具の機能や特性、使い方をよく知ることが必要になってくるんだろうね。
その手引き書の一つとしてこの本はとても判りやすくてよく出来ている。
子どものためだけではなくて、よくわからないまま「楽しい」だけでインターネットをしている大人の入門書としても有効なのでは。
■尾花紀子オフィシャルサイト
最近のコメント